【講演全文公開】後編 子どもの意欲を高めるコツ -怒るのに疲れたアナタへ- in 横浜

2017年11月11日に、横浜市泉区PTA連絡協議会にて講演をさせていただきました。
その講義録を掲載させていただきます。
今回は、後編です。前編は、こちらから

  

今日はメニューをご用意しました。

この中から、皆さんが聞きたいものを選んでいただき、お話させていただきます。
 

 

さて、ではどれがよろしいでしょうか。
よろしければ、手を挙げていただき、「これを聞きたい」と言うのを教えてください。

(手が挙がる)
 

ありがとうございます。
では、この項目からいきましょう。

皆さん、秋本康さんはご存知でしょうか?

AKBのプロデューサーですね。

僕は、秋元康さんのようなプロデューサーとして子育てをすると、うまくいくのではないかなと思っています。

例えば、AKBではそれぞれが、うまく役割分担ができています。

あの子はバラエティに向いている。
あの子には、お芝居をさせよう。
あの子は歌で売り出す。

それぞれの特徴やその子のウリ、できることをもとにして配置を考えている。

子どもも同じだと思うのです。それぞれの子に良さがあり特徴があり、強みがあります。
いかに彼らの強みを伸ばすのか、強みが生かせる場所を作るのかと言うのは、大人ができることだと思います。

 

教室に来ている高校生が、なんとか勉強が出来るようになりたいと言っていました。
もう少し話を詳しく聞いてみると、「なかなか家で勉強ができない」と、言うのです。

では、どうすれば家で勉強ができるようになるか一緒に考えていると、彼は「こんなのどうかな」と、アイデアを出してきました。

それは、自分が家庭教師をする、というものでした。

「家庭教師をすれば、教えるから勉強するし、教えながら勉強にもなる。一石二鳥だと思うんだよね」と言うのです。

そこで、彼と一緒に、どうすれば家庭教師ができるのかを考えたとき、フリースクールに通っている中学生のことが思い浮かびました。

その中学生は、3年生で今は受験勉強に向かっています。
しかし、なかなか勉強がはかどらず、彼も同じように「家では勉強ができない」と言うのです。

僕は、この2人をつなぐことができれば、お互い勉強ができるようになるのではないか、と思いました。

そのことを2人に告げると、それぞれ「面白そう」と言うので、保護者の方にも連絡し、高校生の彼が家庭教師を始めることになりました。

これがまさにプロデュースです。
 
 

確かに知識がある大人が勉強を教えたほうがいいかもしれません。

でも、子どもたち同士で教え合う方が、実はモチベーションが高まったり、学びにつながったりします。

大人として、子どもにできる事は、このような機会を作ってあげることだと思うのです。
 

習い事ももちろん良いでしょう。
でも、他にもできる事はたくさんあります。

ポイントは、子どもが活躍できる場を作る、と言うところです。

うちの子、ギターが得意だから、近くの小さい子に教えてあげたらどうかしら?
みたいな感じですね。

周りに資源は、たくさんあると思います。
みんな得意なことを持っています。

それをどんどん活用していきましょう。

地域にある資源を活用し、あなたもプロデューサーになってみてください。

皆さん、ファッションのコツってご存知ですか?
知り合いのおしゃれな人に、聞いたことがありました。

「おしゃれのコツって何?」って。

すると、こんなことを言っていました。

『おしゃれのコツは、自分を知ることです』と。

子育ても、これと同じだと思うのです。
世間には、たくさんの子育ての方法で溢れています。

これがいいですよ。
いや、実はこれがいいんですよ。

もう、たくさんありすぎて訳が分からない。

手当たり次第に試してみる。でもうまくいかない。
その繰り返しだと思うんです。

結果どうなるかと言うと、だんだん嫌になる。
そして、できない自分に腹が立ってくる。

でもね、ファッションのコツと同じで、大切なことをまずは、自分を知ることだと思うのです。

例えば、褒めるのが苦手。
聞くのが苦手。
話すのがすごい好き。

それぞれによって、皆さん特徴があると思います。

この良さを生かせず、ただ世間に溢れている子育て論を使ったとしてもうまくいきません。

それはファッション雑誌でモデルさんが着てる服を着るのと同じです。

買うときは似合うと思うのです。
これはいいな、素敵だなぁと。

でも、買ってみると、全然違う。

どうして雑誌ではあんなにきれいに写っているのに、着てみると全然違うのだろう。

そんな経験、ありませんか?

足が長い、体が細いなど、その人なりのスタイルに特徴があります。

まずは、その特徴を知ること。
 

自分を知れば、いくら雑誌でおしゃれなものが掲載されていたとしても、「これは似合わないな」と判断できるのです。

子育ても同じです。
初めから手当たり次第に試すのではなく、これは私に向いてる。
これならできる。
こういうふうにに工夫すればできる。

自分を知ることで、目利きができるようになるのです。

なので、子育ての方法をいろいろ探す前に、もっとたくさん自分を知ってみてください。

きっと、あなたなりの子育てが見つかるはずです。

 

油田ってどこから出るかわからないんです。
どこを掘れば出てくるかがわかりません。
もちろん、ここが出やすいぞっていうのはあります。

でも最終的には、掘ってみないとわかりません。

子育ても同じです。結局のところ、試してみないとわからないのです。

例えば、10人のうち9人がうまくいったとしても、もしかしたらあなたのお子さんには合わないかもしれません。

なので、いろいろな方法を試してみるのは良いです。

できればその時に、何がダメなのか、何が向いてないのか、どうすればできるのかを、自分なりに分析してみてください。

それを繰り返すことで、油田を当てる確率が高くなります。

 

子育てって正解がないじゃないですか。
ゴールもそれぞれによって違うし、どういうふうに関わればいいのかもその子によって違います。

でもね、実はたった1つだけあるのです。
海外の事例で、子どもとの関わり方についてある調査がおこなわれました。

厳しい子育てが良いのか、優しい子育てが良いのかを追跡調査したのです。

皆さんはどちらの方が、良いと思いますか?

これね、結果から言うと、有意差は出ませんでした。
ほとんど変わらなかったのです。

厳しい子育てをしても、優しく子育てをしても変わらなかった。

でも、この調査結果で1つだけわかったことがあります。

それは子育てにおける、たった1つの正解です。

正解は、大人がどのように関わるか、ではなく、子どもがどのように感じているか、でした。

どういうことかと言うと、例えば子どもが悪いことをして、親が子どもを殴ったとします。

でも、その殴られた子どもが、「すごく親の愛情を感じる」と思えば、その関わり方は正解です。

反対に、どれだけ褒めても、本人が「嬉しい」「よく見てくれているな」と、思わないのであれば、その関わり方は間違っていることになります。

でも、子どもがどのように感じるかは、私たちには分かりません。
 

ではどうすればいいか?
これ、簡単です。

聞けばいいのです。
お子さんに聞いてみてください。

例えば悪いことをしたので、思いっきり殴る。
その時に、「今の拳に愛情を感じる?」と聞いてみましょう。

きっと、「うるさい」と言われるんでしょうね。笑

冗談は、置いておいて、関わったあとに聞いてみるのです。
褒めた時とかに、ぜひ聞いてみてあげてください。

知り合いの保護者さんは、褒めた後にお子さんに聞くそうです。

「今の私の褒め方、どうだった?」と。

すると、子どもが「今の褒め方は、心に響かない」などと言うそうです。

答えはいつだって子どもの中にあります。

わからないことがあれば、積極的に聞けばいいのです。

皆さん、お子さんのこと、信じていますか?

僕ね、子どものことを一切信じていないんです。

たとえば、お子さんのことで、腹立つことありますよね?

それ、どうして腹立つかというと、期待しているからなんです。

「きっとここまで出来る」と信じているから、イライラするのです。

「きっと、ガンバったら勉強できるハズ」と期待している。
信じている。

でも、やっていない。勉強ができない。

その姿を見るとイライラしてしまう。
怒ってしまう。

 

子どもからしたら、理不尽なんですよ。
勝手に期待されて、勝手に「信じているよ」とか言われて、うまく出来なかったら怒られる。

「知らんがなっ!」なのです。

イライラしないコツは、信じないことです。
期待しないことです。

旦那さんに対しても同じですよね。

「ゴミ出しお願い」って言っていたのに、やっていないと「なんでこんなんもできひんねんっ!」と腹が立つ。

これは、「ゴミ出しくらいやってくれるだろう」と期待しているから。

子どもがテストで満点取れなくてもイライラしませんよね?
それは、満点を期待していないから。

でも、「平均点くらいは取ってくれるだろう」と期待し、勝手に信じている。

だから、想定より低いと、「なにしているんだっ!」と思ってしまう。
 

まずは、お子さんに期待するのをやめましょう。
信じるのをやめましょう。

ただ、そう言っても我が子なので、「こうなって欲しい」と思いますよね。
期待していまう。

期待するのは、悪いことではありません。
それだけ関心があるってことですからね。

僕は、子どもを信じていません。
でもね、子どもの可能性は信じています。

「今は、できない。でも、ぜったいにできるようになる」と信じているのです。

可能性を信じているんです。

だから、サポートしてあげるのです。

勉強が苦手な子がいたら、「勉強ガンバりなさい」と口で言うだけでなく、一緒に勉強してあげる。
教えてあげる。
出来るようにフォローをするのです。

ただ、期待して、信じて見ているだけでは、子どもはできるようになりません。
 

僕は、子どもの「やる!」を一切信じていません。
だって、できないですよ。

大人でもモチベーションなんて、日によって変わります。
子どもなんて、なおさらです。

今日やりたい事は、明日やりたいこととは違うんです。

大人としては、「昨日は、やりたいと言ってたよね」と思っても、子どもはもう既に違うところに関心が向いています。

そういうものなのです。

なので、ただ勝手に期待し、信じて見守るのではなく、できない事を想定した上で、子どもに関わるのです。

「宿題しなさい」ではなく、どうすればこの子は宿題ができるようになるかを考えてあげてください。

そして、できるようにサポートしてあげてください。

プロ野球では、毎年新しい外国人選手が助っ人としてやってきます。

その助っ人外国人を取る際に、監督やコーチは、スカウトがお勧めする選手の動画を見て獲得を決めます。

でも、ビデオに映っているのは大体、良い所だけです。ホームラン集のように、その選手の良い結果だけを映しています。
 

雑誌やテレビで紹介される子育ての方法も同じです。
うまくいっている方法しか紹介されていないのです。

その裏には、いくつもの失敗やうまくいかなかったケースがあるのです。

だから、その人たちを見るときに、「この人だからできるんだ」と思う前に、どんな失敗をしてきたのだろうかについて、注目してみてください。

大きく取り上げられはしませんが、雑誌のインタビューなどでは、うまくいかなかったことについて言及されていることもあります。

すごいなと思う人でも、今その結果が出ている前には、たくさんの失敗があるのです。

結果だけを見て、その人とご自分を比べないでください。
僕たちには見えない挫折や困難がきっとあったのです。

そう思うと、皆さんも自分なりの子育て方法をいつか見つけられると思いませんか?

今回の講演には、600人ほどの方々にご参加いただきました。

僕がこの講演を通しての主張は、たったひとつだけです。

「ガンバらない」こと。

子育てをしている人たちは、みんなガンバりすぎです。
「自分でなんとかしよう」と思っている。

でも、ひとりでガンバるには限界があります。

だからこそ、周りの人などどんどん使ってください。

しんどいときは、無理をしない。

子育てがうまくできないときも、自分を責めない。

「疲れていたよね。仕方ない」と、自分を受け容れてあげてください。

子育ては長期戦です。

自分ができるペースで、楽しくやっていきましょう。
 
 
 
 

〈当日のスライドは、こちら〉

子どもの意欲を高めるコツ

講演のご依頼、お待ちしております。

子どもとの関わり方や意欲を高めるコツ。
自尊感情がどうすれば高くなるか。
不登校に関すること。

PTAや子育て講演会など、いろいろなご依頼いただいております。

「こんなこと話して欲しいな」というご要望を伺った上で、講演テーマを決めます。

東京や関東、関西以外の場所にもおもむきますので、ぜひお声かけ下さいね。

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
詳しいプロフィールはコチラから

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