結局、不登校は増えているのか?―平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」から

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不登校の体験談や事業について講演する際、たびたび今の不登校の児童生徒数などを資料として話を進めることがあります。

この資料、どこから持ってきているかと言えば、文部科学省が毎年公表している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」から引用しています。このデータでは、全国の不登校児童生徒数や推移がきちんとまとめられており、このブログを書く上でもよく参考にしているものです。

実はひと月前に平成28年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の速報値が発表されました。今回はここから諸々のデータを引用しながら、今の不登校を数値という面で考えていきたいと思います。

不登校の児童生徒数、今年は小中学生が大幅に増えてます

平成28年度の小中学生の不登校児童生徒数は、小学生が31151人中学生は103247人。小学生は平成3年以降の統計では初めて3万人を超え、中学生は平成21年度以来に10万人の大台を越えました。そして全児童生徒数における割合はそれぞれ小学生が0.48%、中学生が3.01%となっており、これは過去最多の数字です。

参考までに昨年(平成27年)の数値を挙げると、小学生が27583人(0.42%)、中学生が98408人(2.83%)であり、合算すればこの1年間で小中学生の不登校がほぼ1万人増えたことになります。

なお、高校生の不登校生徒数は48579人で、こちらは前年度より1000人ほどの減少が見られています(平成27年度は49563人)。高校生に関しては統計を取り始めた平成16年(67500人)をピークに減少傾向があるのですが、これは通信制高校への転入などの選択肢が大きく広がっているのも1つあると考えられます。

これが良いと捉えるべきか悪いと捉えるべきか、立場や観点が様々だと意見が割れると思います。ですが、僕自身としては、「学校に行かない」「学校から逃げる」という選択肢が浸透してきたことに関しては、肯定的に捉えたいと思っています。

平成28年度のデータから考える「今の不登校」

a. 1000人あたりの不登校児童生徒数

この日本地図は、「1000人あたりの小中学生の不登校児童生徒数」を表したもの(地図クリックで拡大します)。滋賀県ならば1000人あたりの不登校児童生徒数が「12.7」という数値ですが、これは「1000人いたら12.7人が不登校」ということです。

これを見ると母数が多くない都道府県でも、1000人あたりの数値に換算すると急激に多くなることがわかります。

たとえば東京都は不登校児童生徒数が13283人と全国最多ですが、1000人あたりに換算すると14.6人。やや多いですがこれよりも数値が高い都道府県もあります。高知県は不登校児童生徒数は893人と人数こそ少ないですが、これを1000人あたりの数値にすれば16.9となり、全国で2番目に高い数値です。

で、こちらが「1000人あたりの高校生の不登校生徒数」なのですが(地図クリックで拡大します)、群を抜いて高い沖縄県では32.3、つまり1000人高校生がいたとして32.3人が不登校の生徒なのです。これはほぼ1クラス分にあたる人数です。なお沖縄県は高校中退率も全国最多の割合を示しています。

滋賀県に関しても、高校生の1000人あたりの不登校生徒数は23.5人で、これは沖縄・大阪に次ぐ全国で3番目に多い人数となっています。

この2つの地図で分かるのは大都市圏だけではなく地方でも不登校の児童生徒数が多いということ。そして地方であればあるほど、不登校の子どもたちが安心して通える居場所やフリースクールが求められていることも言えるでしょう。

このデータでは、不登校の子どもたちが相談・指導(僕はこの表現もちょっと違和感があるのですが)を受けた機関もまとめられているのですが(後述)、47都道府県を合算したもののみ掲載されています。要するに上記した高知や沖縄の不登校の子どもたちがどの機関を利用したかまではわかりません。

ですが、何度か引用している「フリースクールに通う子どもは不登校児童生徒数全体の2~3%」というデータから考える限り、市町村の教育支援センターに行く子どもたちを含めても、家に引きこもったり行き場を失う子どもたちはかなり大勢いることが推測されます。

b. 不登校の子どもたちが行き着くところは?

小中学生の不登校について、もう少し掘り下げてみます。

その、「不登校の子どもたちが相談・指導を受けた機関」が、下記のグラフです。

このデータは複数回答可となっているので、たとえば養護教諭の支援を受けながら教育支援センターにも通う例もあると考えられます。また、「養護教諭」と「スクールカウンセラー、相談員等」は学校内における支援、それ以外の上7つは学校外における支援、という分類がなされています。

スクールカウンセラーは学校に同じ人が常駐しているケースはあまり聞いたことがありません。そして養護教諭は、本来傷病を訴える生徒のケアが主な仕事であり、なかなか不登校の子どもたちの保健室登校にきめ細やかな対応ができると言われれば疑問符をつけざるを得ません。

また、学校外における支援のうち、病院や診療所も毎日毎日通えるわけではありません。人気のクリニックであれば数ヶ月単位でないと予約が取れないところもあり、継続的に支援を受けることが困難なケースもあります。

にも関わらず、こうした居場所ではなく、毎日支援を受けることが難しいサービスに依存してしまっている現状が大きく浮き彫りになりました。

弊団体、D.Liveの不登校支援は、ここでは「民間団体、民間施設」の枠組みですが、残念ながらこうした支援を受けられる生徒はごくごくわずかです。教育支援センターを含めても、不登校の子どもたちが通える居場所の少なさは大きな問題点だと思います。まして週に5日通えるとなるとかなり限られるのが実情です。

また、これらの支援を受けていない不登校の子どもたちが27119人いるのも気になります。

c. 不登校の要因

このグラフは、不登校の要因のうち、学校・家庭に係る要因をピックアップしたものです。なお上から8つは「学校に係る要因」として分類されています。グラフの都合上家庭に係る状況を選んだ児童生徒が多く見えますが、上8つを合算すると86158人になります。

いじめられてはいないが、なんとなくクラスに入りにくい、仲の良い友達がいない・・・という孤立した感情が、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」の多さに集約されているように思います。学業の不振も、とにかく試験の点数などで比較したがる今の学校教育の問題点を示している気がします。

また、本人に係る原因(1つのみ選択)としては、不安傾向と無気力傾向がそれぞれ40000人を越えて3位以下を大きく引き離しています。不安傾向の生徒はいじめを除く友人関係を巡る問題が、無気力傾向の生徒は学業の不振が理由で不登校につながっている生徒が多いようです。

まとめ:不登校は、ぜんぜん珍しくないということ

まだまだ引用したいデータがあるのですが、キリがなくなるのでこのあたりまでとしておきます。

不登校は、もうまったく珍しいものではありません。学校に通う子どもたちと比べたら少数派にはなりますが、「不登校の児童生徒がいる学校数」で考えると、不登校の子どもたちがいない学校のほうが逆に珍しくなります。特に中学校では、全体の85.9%の学校に不登校の生徒がいるデータがあります。

年々増加する不登校の児童生徒を支援すべく、「教育機会確保法」という法律も(やや賛否両論ありますが)成立され、ますます不登校という言葉がクローズアップされていくでしょう。僕は来年も、不登校の児童生徒総数は増えるんじゃないかと予測しています。

前述しましたが、この不登校の児童生徒総数の増加は、僕は肯定的に捉えています。多種多様な学び、そして「嫌ならば、学校に行かない」という選択肢がこれからも広がっていくことを、このデータから期待したいと思います。

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山本 駿

山本 駿

子どものころより人一倍敏感な特性を持ち、中学3年間を不登校で過ごす。大学卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画し、現在は通信制高校教員を両立しながらTRY部や不登校講演事業を中心に担当。HSP(Highly Sensitive Person)特有の繊細さを活かし、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。