「こんなことなら不登校をさせておけばよかった」と思わないために

18歳以下の自殺者数が、9月1日にずば抜けて多いことは以前書きました。
ではその次に18歳以下の自殺者数が多い時期は?というと、実は今この時期、つまり4月上旬なのです。
新年度、新たなクラスや学校に希望を持てない子どもたち。また、新たな環境にうまく適応できず、居場所を失ったり見つけられない子どもたちが苦しむのが、今のシーズンです。1年間この場所で過ごせるか不安になる気持ちが、子どもたちを自殺へと追い込んでいきます。
先日も東京で、始業式を前日に控えた女子中学生が電車にはねられ自殺したというニュースが出ていました。彼女は学校も欠席がほぼなく、いじめの情報も確認できていない、という報道がなされていましたが、そんなものはあくまでも「見かけ」でしかありません。
いまやインターネット、SNSの普及で24時間いつでもどこでも友達とつながれる時代。教員の管理が行き届かないところでいじめが勃発することなんて珍しくなくなりました。学校は無欠席、と言っても裏を返せば毎日辛い思いを我慢して我慢して通っていたのかもしれません。
児童生徒の自殺のニュースが流れる度、「いじめは確認されていない」「至って真面目な生徒だった」などとあたかも学校はこの自殺に関して悪くないよ、みたいなことを言っている気がしますが、それは果たして本当なのだろうか?といつもいつも疑問に感じます。
フリースクールのパイオニア的存在でもある「東京シューレ」の創設者、奥地圭子先生の著書『子どもに聞くいじめ―フリースクールからの発信』のなかに、衝撃的な一節がありました。
「こんなことなら登校拒否をさせておけばよかった」
これは今から20年ほど前、愛知県の中学生が壮絶ないじめの末自殺した際に母親がテレビで発言したものです。この中学生の自殺は当時たいへん大きな問題となり、不登校やいじめ・自殺に関する多くの書籍で取り上げられています。
残念ながら、今でもなお「学校が絶対」という考えの下、子どもたちを無理に学校に通わせる大人は多く存在します。そんな子どもたちがどうなるかといえば、たとえばひどい家庭内暴力に至ったり、長期間部屋から一歩も出なかったり、「学校に行けない自分はダメだ」と自らを責めて死に至ります。
最近は意識的にこういった不登校の体験談や事例に関する本を読み込んでいるのですが、大方の発端はやはりいじめや教師の高圧的な態度であり、しかも「自分」を取り戻すまでに長い時間がかかっています。ケガでも壊れた物でもそうですが、ボロボロになればなるほど、人間の心も修復に時間がかかります。
我が子がいじめられているのにそれでも無理に学校へ通わそうとすると、ツケがいつか返ってきます。それが家庭内暴力であり、ひいては自殺に発展します。いずれの事例を読んでも、学校に行けない子どもたちを受け容れてあげさえすればこんな苦しい思いをせずに済んだのではないか、と思うばかりでした。
ことは、起こってからじゃ遅いです。
僕自身も親にたびたび死にたいと言っていました。しかしあるとき、「お父さんとお母さん、なんかあったら一緒に死ぬ覚悟はできてるからな」と言われて、僕はハッとしました。
兵庫県の全寮制高校「生野学園」を創設した精神科医の森下一先生は、『不登校児が教えてくれたもの―3000超の症例が発する日本の父母へのメッセージ!』の中で「共生と共死」の大切さを説いています。
ある不登校の子を持つ親は、我が子が目の前でガソリンをかぶるやいなや自分もかぶり、我が子を抱きしめともに死ぬ覚悟を決めた行動に出ました。すると我が子は腕の中で大声を上げて泣き出し、寸前で自殺を食い止めました。そのときに子どもは初めて親に大事にされていると実感したそうです。
あなたはひとりじゃない、何かあれば自分も死ぬ覚悟を・・・と言う親の「我が子とともに在る」メッセージは、時として我が子の自殺を思いとどまらせることになります。もちろん、ものすごく勇気のいることではありますが、自殺が頭をちらつく子どもたちは「本当の味方」を欲しているのです。
「こんなことなら不登校をさせておけばよかった」と後悔することのない関わり方が、いますべての子を持つ親に求められています。
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