いま、卒業式に出たくないあなたへ。―不登校だった僕が中学校の卒業式に出た話

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「卒業生、起立!礼!」

その号令に、深々と頭を下げる卒業生もいれば、ちょっと首を下ろすだけの卒業生もいる。頭を上げるタイミングもまちまちなので、なにひとつ統制の取れていない一礼。

これは先日、縁あって出席したとある学校の卒業式での光景である。でも僕は、それを壇上の来賓席から見守りながら「それでいい」と心の中でうなずいていた。

不登校だった中学の卒業式。僕は一応出席して、壇上で卒業証書を受け取っている。

きっかけは、ある日担任が家に届けてくれた小さな冊子だった。それは、クラス全員が僕のために書いてくれた手作りの寄せ書き集。どうやら僕に限らず、クラス全員がそれぞれに宛てて書いているらしい。

そんなに仲良くなかった同級生は「これからも頑張ってください」などとありきたりな言葉をくれたけど、一部の同級生は「卒業式待ってるで!」とか、「クラス全員で卒業しような!」などと、すごく温かい言葉を書いてくれていた。

それが逆に負担に感じる人もいるだろう。しかし僕は、中学3年間見渡しても出席したのはたぶんひと月あるかないかというのに、こうして仲間意識をもってくれていたことがなんだか嬉しくて、卒業式には参加することにした。

しかし、簡単に卒業式に参加できるわけではない。

よくよく考えれば、小学校のころから卒業式の練習をやる意味が分からなかった。一歩譲って合唱とか送辞答辞に練習が必要なのは理解するけど、なんで起立・礼・着席を何度も何度も繰り返し練習しなければいけないのか。号令とともに立って一礼すればいいだけじゃないの?

それにひとつ何かを間違えれば「違うだろ!」と叱られるわけである。しかも体育館なのでその声がまあよく響く。ムードも重苦しいし、本当に先生方は僕らの卒業を心から祝いたくてそこまで叱っているのだろうか。っていうか、何が何でもキレイに見せなきゃいけない理由って、何???

こんな疑問を感じても、一から十まできちんと説明してくれる先生は、いなかった。というか、先生側の問答無用でやらす雰囲気に質問する気力が失せたという表現が正しい。

だから僕は卒業式の練習が大嫌いだった。

で、中学校の卒業式である。

卒業式に出席する以上、練習にも参加する必要がある。肌寒くて殺風景な体育館で個性も何もない制服姿で座るのはどことなく憂鬱だった。そして「一同、礼!」の練習になると、100人以上いる同級生がほぼ狂いもなく深々と頭を下げる。顔を上げるタイミングもほぼ同じ。

たぶんどっかでそういう指導を受けたんだろうなあ、と思った。でも、僕はなんだかそれがすごく気持ち悪くて、わざと1秒ほど早く顔を上げたら、担任に改めて一礼の作法を指導された。そんなことは言われなくても知っている。

世間知らずだと思われるかもしれない。しかし、兄弟もいない、従兄姉も年が離れた大人だらけの世界で育った僕は、こういう礼儀の作法に関してはかなり口酸っぱく叩き込まれてきた。なので、やろうと思えば深々と頭を下げることは、できる。

だけどこの場で同級生に合わせて一礼するのは、なんだか自分を殺すような感覚があって、身体が拒絶反応を示した。ああ、やっぱり自分は「他人に合わせる」ことが苦手なんだ・・・。

これが、僕の中学校の卒業式で覚えていることのほぼすべてである。式の当日、誰が隣に座って、何を歌ったのか、送辞も答辞も、なにひとつ記憶にない。あとは、とある同級生が前日に骨折して、包帯をぐるぐる巻きにして式に参列していたことだけおぼろげに残っている。

だから、壇上で卒業証書を受け取ったことも、まったく覚えていない。

いま、卒業式に出たくないあなたへ。

まずは、ご卒業おめでとうございます。

さて、ここまで僕の体験談を書いてきましたが、現実には卒業式に出たくなければ「出ない」ことも可能な学校がほとんどです。僕も件の寄せ書きがなければ、ひょっとしたら卒業式を拒否していたことでしょう。

で、実際に卒業式を欠席しても、卒業証書は受け取らなければなりません。その場合、担任や学年主任など先生方が証書を自宅に届けてくださるケースと、校長室など別室で証書を受け取るケースがあります。後者だと、卒業式当日でも式に出ずに別室で受け取ることができた卒業生もいるようです。

特に団体行動が苦手で学校に行けなくなった場合、否が応でも規律を守る行動を求められる卒業式はかなり苦痛を伴うことがあります。それに、在校生・保護者も集まってたくさんの人が一堂に会する場でもあるので、他人の目を気にする子どもたちもかなりしんどいと思います。

まずは、自分が卒業式に「出たいか出たくないか」という意思をはっきりさせておきましょう。大事なのは、卒業式は「必ず出なくちゃいけない場ではない」、言い換えれば卒業式に出なくても卒業はできる、ということです。

また、保護者の方も、まずはお子さんの気持ちを第一にして、もし行きたくないのなら卒業式に無理に引きずり出すことはしないであげてほしいです。万が一欠席したとしても、証書授与の際に名前だけ呼ばれて粛々と次に進むのでとくに問題はありません。また、式では代表者のみ証書を受け取る学校もあります。

高校はすでに大半の学校で卒業式が終了していますが、小学校・中学校ではおそらく今週ごろが卒業式、というところが多いと思います。出る・出ないに限らず、後悔のないようにベストな選択をしてほしいな、と思います。

【2018/2/28追記】卒業証書を受け取る方法を改めてまとめました

卒業式への出席について、また証書を受け取る方法について、改めてまとめた記事を書きました。こちらのほうもよろしければご覧ください。

不登校の子どもが、卒業証書を受け取る6つの方法

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山本 駿

山本 駿

NPO法人D.Live スタッフ / 高校非常勤教員(社会科) 京都出身。中学3年間不登校。岐阜県内の大学を卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画。主にTRY部や不登校講演事業を担当しながら、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。