【02.26 イベント】交換日記のような子育てイベント

「たなかくん。こんにちは。あらためて、こんな感じで自己紹介は緊張しますね」

時計は、23時を過ぎている。
机に向かって、ノートを広げながら、丸文字で書かれた文章を読んでいた。

どちらから言い出したか、正確なことは覚えていない。
中学生の頃、僕は好きな女の子と交換日記をはじめた。

1ページ以上を書いて、相手に渡す。

彼女が書いたノートをもらっても、スグには読まなかった。
ドキドキしながら、夜中にこっそり読む。

どんなことが書いているんだろう?
今日は、なにについて書かれている?

もらった瞬間に読みたかったけど、誰にも読んでいるのを見られたくない。
自分だけの宝物のような気持ちだった。
 

交換日記に書くことは、とりとめもないことから、自分の過去や夢、思いなどどんなことでも書けた。

普段は話せないような恥ずかしいことも、文章ならば書くことができた。

実はこんなことで悩んでいる。
こんなことがあったんだよ。

まるで隣にいて語りかけるように、ペンを走らせる。

メールならば何度も修正ができるけれど、手書きではそうはいかない。
書きながら考える。

自分がなにを言いたいのかわからなくなって、「結局、なにが言いたいのかわからないんだけど、今回はこんな感じです」なんて、文章を締めくくることもあった。

ケンカしたときにも、交換日記は効果を発揮してくれた。

会って話しても、なかなかホンネが言えない。
「わかってよ!」と、思うけれど、自分の素直な気持ちは言葉にしにくい。
全てを言ったら負けのように思えて、お互いに引かない。

「あのね、昨日なんだけど、私がどうして怒っているかわかってる?私が怒っていたのは……」

どんな感情を持っていたのか。
どこに憤りを感じていたのか。

交換日記には、全てをありのままに記すことができた。

話しているときに、日記に書いていることと同じことを説明されたとしても、きっと素直に受け止めることはできなかったように思える。

文字を読むペースは、自分で決められる。
何度も何度も読んで、はじめて自分の中で理解ができる。

話しているときだと、「いやっ、でもね……」と、言ってしまう。

自分の中で言葉をかみ砕き、ゆっくりゆっくりと飲み込む。

交換日記の中には、僕が普段見えていない、知らなかった彼女がそこにはいた。

知らなかった過去。知らなかった経験。
小さいことにイライラしてしまう性格。
実は、同じグループの子が少し苦手だということ。

会って、話すだけでは、知る由もなかったようなことを知ることができた。

今まで僕が「知っている」と思っていたのは、サイコロでいうと、1つや2つの面だけだった。
見えていない部分、地面に隠れている部分が誰にもある。

交換日記は、そんなことを僕に教えてくれた。

もしかしたら、今まで嫌いだと思っていた人、苦手だと思っていた友達も、もしかしたら違う一面も持っているのかもしれない。
 

普段、「わかっている」と思っている自分の子どもも同じ。
見ているだけでは、決して見えない部分が、どこかに隠れている。

恥ずかしくて言えない。
言いたいことはあるけれど、別に伝えることでもないと思う。
言っても聞いてくれないだろうと思って、諦めている。

人はどうしても、見えている部分が全てだと思ってしまう。
しかし、人はそんなに単純なものではない。

家族だから、我が子だから、全てを分かっているということは決してない。

面と向かって言うのは恥ずかしい。
ケンカになるから、言うのは控えている。

言葉に出せない、心にしまっている声が子どもにもきっとある。
 

2月26日におこなうイベントは、まるで交換日記のようだ。

子どもが普段見せないこと、親には決して言わないことが聞ける。
こっそりと交換日記をのぞくように、ホンネや気持ちを知ることができる。

面と向かって聞くと、ケンカになってしまうこともある。
感情になってしまうこともあるだろう。

お互いに自分の立場があるから、「私だってガンバっているんだよ!」と言いたくなってしまう。

子どもの主張を聞いて、大人たちでみんな一緒になって考える。

決して中身を見ることを許されない子どもたちが書いた交換日記をのぞくことがてきる。

どんなことを考えているんだろう?
なにで悩んでいるの?

親には決して見せない子どもの姿が、ここでは見ることができるかもしれない。

子どもが大人へ書いた交換日記、のぞきたくありませんか?

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*開催概要*

シリーズ「子どもの意見が案外正しい」
中高生しゃべくり007「オトナたちよ、私たちの声を聞け!」

【日時】2017/2/26(土)10:00-12:00 (9:30開場)

【場所】草津市民交流プラザ5F 大会議室
(草津市野路一丁目15番5号(フェリエ南草津5階))
    
【定員数】50名(先着順)

【対象】中学生以上

【参加費】無料

【プログラム】
 9:30 開場
 10:00 はじまりの挨拶/主旨説明/グループ分け
 10:15 子どもたちの発言のご紹介

 10:30 トークセッション&ワーク
    大人や子ども、合わさって、どんな解決策があるのかを考えよう!

 11:45 みんなで共有しよう。
 12:00 終了

【お申し込み】
お名前、参加人数を記載の上、こちら(Kusatsumirai@city.Kusatsu.lg.jp)までご連絡ください。
※中高生のお子さんと一緒に参加される場合はコメント欄にその旨をお書きください。
 
 
 
 

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
詳しいプロフィールはコチラから

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