「もしもし、ミックスピザのMサイズをお願いします」
注文を終え、住所を伝える。
電話を切って1時間もたたないうちに、あたたかいピザが届く。
これがデリバリーピザのシステムだ。
頼んでないものが来たらどうしよう?
いつまでたっても届かないかも?
今まで、心配に思ったことはないだろう。
欲しいもの、注文したものが正確に届く。
それが当たり前。
だからこそ、僕たちはなんの不安も持たずに、電話でピザを頼む。
チラシやWebサイトに商品は載っている。
写真つきでわかりやすいメニューから、食べたいものを選ぶ。
値段も当然書かれている。
どのように注文するか、どれくらい頼めば宅配料が無料なのか、全てがわかりやすく記載されている。
たとえ初めてデリバリーピザを注文する人ても、戸惑うことはほとんどないだろう。
今はWebにどんな情報でもある時代だ。
最新のニュースは勝手に入ってくるし、知りたい情報は検索するとスグ手に入れることができる。
子どもがスマホを持っていることも珍しくないし、高齢者の人たちも慣れた手つきでタブレットを操っている。
にも関わらず、僕がほんとうに必要だと思ってる、教育に関する情報がWeb上には、ない。
ほとんどない。
必要だと思っている人は、たくさんいる。
しかし、ないのだ。
先日のこと。
僕のもとに、1人のお母さんがご相談に来た。
子どもは、小学1年生と4年生。
2人とも学校へは行っておらず、いわゆる不登校だ。
お母さんは、こんな風に話してくれた。
「今は、無理して学校へ通わせようとは思っていません。
だから、学校へ行けないことは別にいいのです。
ただ….」
そこまで話すと、彼女は少し悲しそうな顔をして、2人の顔を見た。
僕に視線を戻すと、
「行く場所がないのです。滋賀県には、ほとんど子どもたちを通わせるところがありません。ネットで探してもなかなか見つからないのです」
そう、そうなんだ。
僕は相談を受けながら、深くうなづいた。
不登校に関する情報は、Web上にほとんどないのが現状だ。
悩み相談の掲示板やフリースクールの情報は、ある。
しかし、不登校の子どもたちが行ける居場所に関する情報は、ほとんどない。
なんとか探して、やっと見つかるレベル。
ただ、掲載されている情報はとても薄っぺらい。
居場所を運営している人の名前が記載されており、「連絡先はこちら」と携帯番号が書かれている。
活動の雰囲気やどんな子どもたちがいるのか、ほとんどなにもわからない。
不登校の保護者は、わらにもすがる思いで、1つ1つに連絡をとって尋ねていく。
いったいどんなところか、ほんとうに自分の子どもに合うかどうかもわからずに。
不登校は、全国で12万人ほどいると言われている。
中学では、1クラスに1人の割合。
不登校というのは、全くめずらしいことではなく、どこの子にも起きる可能性があるくらいのレベルだ。
子どもの数だけでその数なのだから、悩んでいる保護者の数を考えると、20万人以上の人が「不登校」に関して情報を欲している。
不登校は、1人1人によって状態がちがう。
カウンセリングでなんとかなる子もいれば、環境を変えれば元気になる子もいる。
少し休めば、学校へ通えるようになることもある。
原因も背景もちがう。
いじめなんてわかりやすい原因はほとんどなくって、本人も誰も「どうして学校へ行けないんだろう?」と理由がわからないことも少なくない。
「こうしたらいいんですよ」という、わかりやすい答えがないにも関わらず、Web上には、ほとんどの情報がない。
不登校の保護者でも、知りたい情報は全然ちがう。
学校へ行くのをぐずるようになってきて、どうしたらいいか困っている。
学校へ行かずしんどそうにしているけど、どこへ連れていったらいいのかわからない。
学校以外の居場所を見つけたい。
どうしたらいいかわからないので、誰かに相談したい。
多様な情報が欲しいにも関わらず、ほとんどの情報が載っていないのだ。
まるで、メニューが2つしかないピザ屋みたい。
情報がないから、選択ができない。
各地域には、適応指導教室があるけれど、そこが合っていないとほとんど行かせるところがない。
学校の先生もほとんど情報をもっていない。
生徒が不登校になると、保護者と一緒になって悩む。
どうしましょうか。。。
先生もどこへ相談したらいいか知らないし、情報も載っていないから見つけられない。
現状は、知り合いづたいで、「ここがいいらしいですよ」と紹介されるくらいしかないのだ。
僕は、この現状をなんとかしたい。
注文したら、ちゃんと届けられるデリバリーピザのように、必要としている人に、欲している情報を届けたい。
自分の周りでどんなところがあって、どこへ相談したらいいかがわかる。
活動しているところでは、誰がやっていて、どんな子どもが来ているのか雰囲気がわかる。
携帯番号しか書いていなかったページが、写真で代表が紹介されており、子どもたちが活動している写真が掲載されていたら、とてもわかりやすい。
自分の子は、どこが合っているのか参考にできる。
わからないから、しらみつぶしに、1つ1つ子どもを連れて訪問する必要はなくなる。
普段、生活をしていると聞き慣れないような、“思春期外来”について先生がどんなところか語っている記事があれば、子どもを無理矢理に連れていくこともない。
今まで、ほとんど選択肢がなかったのが、「うちの子は、ここがあってそう」と、選択をすることができる。
カウンセリングに合う子。合わない子。
病院に行く必要がある子。必要がない子。
さまざまなタイプがいるけれど、“とりあえず、ここへ連れていこう”という、合っているかどうかわからないけれど、連れて行くということが減るだろう。
ジェフ・ベゾスは、20年ほど前にAmazonをつくった。
地域に住んでおり、わざわざ都会にまで買い出しに行っていた人たちが、Amazonが出来たことで、クリックひとつで欲しいものを注文できるようになった。
デリバリーピザは、雪でも嵐でも、欲しい商品を届けてくれる。
同じように、不登校で悩んでいる人たちが欲しいと思っている情報を届けよう。
Amazonによって買い物がラクになったように、不登校を抱えている不安や心配、負担をラクにしたい。
はっきりいって、僕たちが作ろうと思っているこの教育メディア(webマガジン)はお金にならない。
居場所やサークルからお金をもらうなんてあり得ないし、広告モデルも使いにくい。
だからこそ、今までそのようなサービスがなかった。
しかし、だ。
必要としている人がいるのであれば、僕たちはこのメディアを作らないといけない。
気づいたものの責任。
僕たちが、悩み苦しんでいる人たちに情報を届けないといけない。
20万人もの人が、「欲しい」と思って、今もどこかで待っているのだ。
自分の子どもをなんとかしてあげたいと思って、悩んでいるのだ。
Webにまだ載っていない情報を。
欲しいと思う情報を。
このメディアにどんどん掲載をしていく。
不登校の居場所を作っている人へ取材に行く。
思春期外来などの医師へインタビューをする。
はっきりいってとても大変だ。
でも、待っている人がいるのに、僕たちは手をこまねいているわけにはいかない。
このメディアにかけられる費用は、わずかだろう。
ライターに払えるお金もない。
自分たちでボランティアを募り、ライティングや取材のスキルを教えないといけない。
カメラの使い方も必要だろう。
お金にならないことだから、きっと企業はこれからもこの分野に手を出すことはない。
ならば、僕たちはなんとしてでも立ち上げなければならない。
ペリー来航で、母国を憂い、立ち上がった坂本龍馬のように。
メディアを運営していくにあたって、これから、きっと大変なことが待っているだろう。
しかし、それ以上のやりがいがあるに違いない。
なんていったって、待っている人たちが20万人以上もいるのだ。
その人たちに届けられることを考えると、20万人以上の「ありがとう」がもらえるのだと思うと、武者震いがしてくる。
ブログを書いても、「全然読まれない」と頭を抱えていたこともあるかもしれない。
でも、もうそんな不安はない。
僕たちには、待っている読者がたくさんいるのだから。
あなたの記事を待っている人がいる。
このメディアを待っている人がいる。
デリバリーピザのように、必要な人へ届けられる教育メディアを一緒になってつくってくれるあなたに出会えることを、僕は楽しみにしている。
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