勉強は、だんだん嫌いになっていくもの

かわいそうな犬の話です。

窓一つない実験室で、ゲージに入れられた犬に電気ショックを与える実験がおこなわれました。
電気ショックは、不規則に、警告なしに流れます。

翌日、違うゲージに移動。
犬の横には、飛び越えられるほどの低い壁。

しかし、前日になすすべもなく、ずっと電気ショックをうけていた犬は、電気を新たに流されても床に横たわり、クンクン鳴いているだけでした。

ただ、電気ショックが終わるのを待っていたのです。

壁を越えて逃げられるにも関わらず。

これは、マーティン・セリグマンとスティーブ・マイヤーがおこなった実験です。

この犬の状態を「学習性無力感」と言います。

過去の失敗のせいで、「無力な自分には、この状況をどうすることもできない」とあきらめてしまうことです。

子どもが勉強をイヤになるのも、同じ過程をたどります。

小学生低学年のときは、勉強が簡単だからそれほどイヤにはなりません。(漢字ドリルなどの宿題は、嫌いですが)

でも、学年が上がるにつれ、だんだん「わからない」が出てきます。

今まで、「わかっていた」勉強がわからなくなってくるのです。

はじめは、「ガンバろう!」と思って、工夫をします。努力します。
しかし、少しずつできなくなっていくのです。

ガンバる → できない(わからない) → ガンバる → できない(わからない)

これを繰り返すうちに、上記の犬と同じように「学習性無力感」に陥るのです。

「どうせ勉強なんてしても意味がない」「どうせ自分は勉強ができないんだ」と諦めてしまうのです。

あなたから見ると、「もっとやる気を出して!」と思うかもしれません。

しかし、本人にはやる気を出せない理由があるのです。

勉強は、急にイヤになるものではなく、だんだんイヤになっていくのです。

もし、お子さんが学習性無力感におちいり、勉強のやる気を失っているとしましょう。

そのときは、「有能感」や「自己効力感」を伸ばすようにするのです。

「やればできる」という達成感を持たせるために、簡単な問題を解かせる。「わかった」と思える機会をつくる。

そうやって、少しずつ「勉強なんてできないんだ」という思い込みを払拭していきましょう。

「やれば、できた」と思える経験を作ることで、有能感や自己効力感が育まれ、「勉強もやれば出来るんだ」と思えるようになっていくのです。

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
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