【泣きそう】自尊感情について師匠と講演で共演を果たした。
「やっとこのときが来た!」
僕の鼓動は、激しく脈を打っていた。
講師控え室で僕は1人の先生を待っていた。
滋賀県の教育フォーラム。
ゲスト講師として話をして欲しいとお声かけをいただき、僕は講演をすることになった。
「実は田中さんともう1人にもお話いただくんです」
名前を聞いて驚いた。
「ご存じですか?」
ただ、黙って頷く。
知っているどころではない。
僕が活動を初めて、ずっと師と仰いでいた人だ。
本人には直接言ったことはないけれど、心の中ではずっと師匠だと思っていた。
ほとんどの著書を読み、この先生ならばどうするだろうかといつも心に問いかけた。
そんな師匠との共演。
活動をはじめて7年。
滋賀へ来て4年。
まさかこんなときが来るなんて想像もしていなかった。
僕にとっては神様のような存在で、そんな人とまさか一緒に登壇することになるだろうとは。
師匠と仰いでいる人、園田雅春先生とのキッカケは偶然だった。
5年ほど前。
団体として、自尊感情を高める活動をしていこうと決めた。
しかし、自分たちは自尊感情について詳しく知らない。
たくさんの先生に会って話を聞きたいと思い、いろいろ探していた。
そんなとき。
たまたまTwitterで「園田先生が自尊感情について詳しいですよ」と聞いた。
僕は早速、園田先生の著書を買って読んだ。
びっくりした。
驚き、感動、衝撃。
いろんな感情が自分の中に出てきた。
学校で自尊感情を育むのは難しい。
だからこそ、僕たちはNPOとして地域で子どもの自尊感情を育む活動をしていこうと思った。
しかし、だ。
園田先生は、学校の先生として自尊感情を高める活動をしていた。
NPOがやっているイベントよりもおもしろいくらいのレベルの活動をしていたのだ。
「こんなにおもしろいことが出来る先生がいるのか!」
どうやったら自尊感情を高めたらいいんだろう。
学校では自尊感情を高めることは難しいんだろうなぁ。
そんなもやもやしていた自分の気持ちに明確な応えをくれそうな園田先生との出会い。
今でも思う。
僕は、園田先生に会っていなかったらどうなっていただろうと。
もしかしたら、心が折れていたかも知れないなと。
そんな風に思うくらい、僕にとって園田先生との出会いは、とてもとても大きな出来事だった。
ドキドキしながら連絡をとる。
すると、快く勉強会にお誘いをいただいた。
現場からは退き、教員養成を主にされているにも関わらず、言葉の1つ1つはもうほんとに示唆にとんでおり、今でも現場でバリバリやっていそうなくらいだった。
活動の合間を縫って出来るだけ勉強会に参加することにした。
行くのが楽しかった。
行く度にたくさんのことが学べた。
教員は話し過ぎなこと。
子どもたちに任せることがどれだけ大切かということ。
子どもに向き合うと言うこと。
まさに僕にとっては、最高の先生だった。
今でも印象に残っていることがある。
勉強会が終わり、そのままみんなで飲み会へ行った。
そのとき、たまたま新卒で先生になった女性が来ていた。
彼女はいろいろ悩み、しんどそうにしていた。
園田先生に相談し、明日からまた学校へ行くのに気が重いという。
それを聞いて、園田先生はとても斬新なアドバイスをした。
すると、曇っていた彼女の表情は見る見る明るくなり、店を出るときには「明日、学校へ行くのが楽しみです」と言うくらいに変化していた。
自尊感情についての基礎を園田先生からは教わった。
どんな関わりをしたら子どもが自信を持つようになるのか、どうして自尊感情が低いのか。
原因や背景、自尊感情という言葉の意味。
イロハを全て教わった。
滋賀県で法人化し、大阪でおこなわれている勉強会にはなかなか足を伸ばせなくなった。
しかし、園田先生の教えはずっと僕の中でいきていた。
なにかあるたびに、「園田先生はどうするんだろう?」と考えた。
それからもう4年ほどがたつ。
ずっと教わってきた師と、僕は同じ舞台に立つことになった。
決まってから当日までずっと緊張をしていた。
「自分がなにを話せるのだろう?」と思っていた。
「園田先生の前で果たして話せるのだろうか」
「園田先生だけでも良かったのではないのか?」と思ったこともあった。
参加する人のほとんどは教員。
僕は、先生として現場に立ったことがない。
そんな方々へ向けて、高いところからなにを話せばいいのだろう。
「自尊感情を高める方法はこうです!」と、僕よりも何倍も子どもたちと接しているプロに話せるわけがない。
家で料理が得意な人がプロの料理人に向かって「こうやって作るといいですよ」と言うようなものだ。
ありえない。
講演は慣れているけれど、このフォーラムの準備はとても悩んだ。
僕がなにを語れると言うのだろう。。。
学校の先生との違い。
僕が先生に向かって話せること。
じっくり考えたとき、今までに出会ってきた子どもたちの顔が浮かんできた。
活動を通して、何人もの不登校の子に出会ってきた。
教室に来ている子は、今では全員が楽しく学校へ行けるようになった。
試行錯誤。
悩み、葛藤しながらも結果を出してきた。
不登校の子を持つ親御さんへの面談。
保護者の方々への講座や講演会。
気がつけば、僕の中には届けられる経験、言葉がたくさん貯まってきていた。
園田先生のところへ初めていったときから比べると、少しばかりだけど僕も語れるようになっていた。
『子どもの自信白書』も発行し、60人ほどが集まるフォーラムも自団体でおこなえた。
講演をしていて、泣き出して「ありがとうございました」と感謝してくださる保護者さんも少なくない。
そう考えると、「自分にも話せることがあるのかもしれない」と思うことができた。
そして、思った。
「えらそうにやり方を伝えるのではない。自尊感情を高めるための考え方や大切にしていること。レシピではなく、エキスを伝えよう」と。
迎えた当日。
園田先生がやってくるまで、僕は講師控え室でとても緊張していた。
しかし、その緊張はずっとは続かなかった。
園田先生が入ってこられ、挨拶をする。
打ち合わせがはじまると、僕の心は躍りっぱなしだった。
気持ちは、オールスター戦に出場する若手選手のよう。
憧れの選手と一緒に試合へ出られる嬉しさを感じるように、僕は園田先生と一緒に登壇できるのがなによりも嬉しかった。
ずっと憧れだった先生。
自尊感情について教えてくれた先生。
子どもと関わる楽しさ、喜びを余すことなく伝えてくれた先生。
今の僕は園田先生にどのように見えているのだろう。
どんな声をかけてくれるのだろう。
緊張はした。
園田先生が見ているとなると、変なところに力が入った。
でも、楽しく講演が出来た。
終わったとき、たくさんの人たちに「とてもわかりやすかった」と言っていただいた。
教員の人にそう言っていただけたのが、僕にとってはすごく嬉しかったし、有り難かった。
「ああ、自尊感情についての講演、教員の人へ向けてもちゃんと出来るな。」と自信が確信に変わった。
「子育ては、野球チーム」というたとえもすごく褒めていただいた。
(特に園田先生に!!」
講演が終わり、教員の人たちと話す時間があった。
そこで思ったこと。
教員の人は、とても大変。
でも、みんな子どもに対してなにかしたいと思われている。
自尊感情についても危機感を持ち、不登校の子に対してもどうしようかと悩まれている。
僕は、不登校の子を劇的に変化させる教室をしている。
自尊感情についても、誰よりもうまく話せる自信がある。
だとすれば、僕は気負うことなく教員の方向けにも講演をしていかないといけない。
研修をしないといけない。
それが、きっと僕の役割だ。
「以前お会いした時より、はるかなる進化を遂げて、大活躍されていることに拍手です。
一層のご活躍を。」園田 雅春
ああ、涙が出そうだ。
自尊感情について、自信が高まる関わり方について講演しています!