不登校生徒の学校外の学びも”義務教育”として認めてよかったのでは?「教育機会確保法案」の成立を受けて
みなさん。こんにちは。
スタッフの得津です。
みなさんご存知でしょうか?
実は、ここ数ヶ月のうちに「不登校」をめぐる大きな動きがありました。1つは、9月14日に出された不登校児童生徒への支援のあり方(通知)です。
この通知は、「不登校を問題行動と判断してはならない」という考えが示されたことが大きな特徴の1つです。具体的には、このような形で通知されました。
(3)不登校とは,多様な要因・背景により,結果として不登校状態になっているということであり,その行為を「問題行動」と判断してはならない。不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し,学校・家庭・社会が不登校児童生徒に寄り添い共感的理解と受容の姿勢を持つことが,児童生徒の自己肯定感を高めるためにも重要 であり,周囲の大人との信頼関係を構築していく過程が社会性や人間性の伸長につながり,結果として児童生徒の社会的自立につながることが期待される。
不登校については、「進路の問題」として捉えるということが、僕が教員採用試験を受けていた当時(7、8年くらい前)から言われていました。自分が学生の時に、フリースクールやオルタナティブスクールを運営する方とお話しする機会がありました。教育課程や、そこで育った生徒のことを熱心にお話くださったことを今でも覚えています。
だから、僕は子どもが学校以外の場で勉強することに対して抵抗がなく、国の「不登校が良いとか悪いじゃなくて学校に行くか行かないかも含めて自分で選び取っていく機会にしたいね」、という方針もすんなり受け入れていました。
ですので、この通知の「不登校を問題行動と判断してはならない」という部分についても、特に驚きもありませんでした。
しかし、22日に可決された法案には驚きました。
この法案は、フリースクールなど、学校以外の場で学ぶ不登校の子どもの支援を目的とした法案です。この法案は当初、フリースクールや家庭で学ぶことを義務教育として認めることも含まれていました。しかし、この部分について一部から反対を受け、削られた形で成立しました。
「ちょっと残念だな」というのが、正直な結果です。
小・中学生の児童生徒が不登校になって、たとえばフリースクールに通うようになっても籍はもともといた学校にあります。卒業証書などはその学校からもらうことになるのです。だから、「卒業式だけでも・・・」と学校に行って卒業証書を受け取ることもよくあります。卒業式に他の生徒と一緒に参加したり、時間をずらして校長室で卒業証書を受け取ったりなど、形はいろいろあります。
とはいえ、本当に学校に行くことがしんどい子どもにとっては卒業式だけでも学校に足を運ぶことは辛いんじゃないかと思うんです。どうしても、嫌なことを思い出しやすいでしょうし。
そんな子どもにとっては、自分が選んだフリースクールなどの学びの場。それも、絶対にすぐ決まったわけじゃなく、いろんな過程を経た上で決めただろう学びの場で、卒業証書もらえるってとても嬉しく意義のあることだと思うのです。
だからこそ、この法案可決にあたってフリースクールなどの学校教育法で決められた学校以外でもなされる教育活動も義務教育として認めてあげれたらよかったなと僕は思うのです。
とはいえ、この法案が成立したことで不登校の子どもとその学びをどう捉えていくか。そして、どう支援していくかについて見直されていくことでしょう。特に第6条の
「国及び地方公共団体は、教育機会の確保等に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする」
という文言により、これまで掛かっていた経済的負担が軽減される可能性があります。これは、不登校のお子さんをもつ保護者にとっては嬉しい文言ではないでしょうか。当然ですが、フリースクールなどでの学習にかかる教材費などは完全に保護者負担です。なかなかお金がかかるそうなので、お金がネックになってフリースクールに手が出なかったご家庭にとっては選択肢が広がるきっかけになります。
不登校の児童生徒は毎年、少しずつ少しずつ増えています。不登校支援をめぐる国や地方公共団体の動きに合わせて、不登校になった子どもたちが自分の自尊感情を損ない続けることなく、再び学習にむかえるよう僕たちもトライ部という教室から手助けしていきます。