逃げ恥の津崎平匡(星野源)は、どうして自尊感情が低いのか?

「逃げるは恥だが役に立つ」(逃げ恥)の主人公である津崎平匡(星野源)は、どうしてモテないのだろうか?

自尊感情が低いのだろうか?

見た目も悪くない。服装も小綺麗で、別に嫌悪感をもたれることもない。

 

プロフィールはこちら。

名前:津崎平匡
出身:山口県
年齢:35歳
大学:京大卒
職業:IT
勤務先:3Iシステムソリューションズ
性格:潔癖症で真面目

 

京都大学出身で仕事もいろんな人たちに頼られているところからデキる人だ。

にも、関わらずモテない。女性が苦手。

 

みくり(新垣結衣)は、「津崎さんは、自尊感情が低い」と言うが、どういうことだろうか?
どうして、見た目も悪くなく、頭も良い平匡(星野源)は自信が持てていないのだろう?

結論から言うと、平匡の自尊感情は低くない。
実際、みくりも「平匡さんの自尊感情は低い。こと恋愛に関しては」と話している。

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まずは、自尊感情とはなにかについて考えよう。

「自尊感情 = 自信」と思われているが、少し違う。
自尊感情とは、「自分の良いところも悪いところもあるがままに受け入れられること」だ。

自尊感情とは、成功体験や能力、誰かと比較する必要もなく、絶対的なもの。

「自信がつく」とは言うけれど、「自尊感情がついた」とは言わない。

盲目的に自分自身にOKを出すわけではなく、たとえ悪いところ、誰かに劣っているところがあったとしても、
「まぁ、それも自分だよね」と受け容れている状態が「自尊感情が高い」ということ。

では、平匡を見てみよう。

彼は、自尊感情という面では決して低くない。
仕事や自分自身で大きく悩まない。
自分の性格についてもぐちぐち考えている描写もない。

両親は、彼をあたたかく愛してくれているようだし、職場の人間関係も良好だ。

にも関わらず、みくりは「平匡の自尊感情は低い」という分析をした。

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実は、自尊感情には4つの構成要素がある。
包み込まれる感覚、自己受容感覚、自己効力感、社交性感覚。
これらが合わさって、自尊感情になる。

平匡は、この中にある“自己効力感”が低い。

自己効力感とは、「やればできると思える感覚」だ。

世間一般に言われる“自信”は、この自己効力感とほぼ同じだろう。

自己効力感には、いろいろある。

勉強の自己効力感。
恋愛の自己効力感。
運動の自己効力感。

平匡は、勉強や仕事に関する自己効力感は低くないだろう。

しかし、恋愛の自己効力感が著しく低いのだ。

これがみくりの言う「平匡さんの自尊感情は低い。こと恋愛においては」という意味だ。

平匡は、恋愛において、勉強の苦手な子どものような行動をしている。
勉強が苦手な子どもは、「自分は勉強ができない」「自分には才能がない」と言って、勉強を避けるようになる。

たまにガンバってみても、結果がでない。
そうすると、ますます「やっぱり、自分はダメなんだ」と思い、自信を失っていく。

 

平匡も全く同じ。

“プロの独身”を自称し、結婚は自分から縁遠いと言い張る。
平穏でいたいと言い、人と距離感をとる。

これは、心理学の言葉で「セルフ・ハンディキャッピング」とも言われる。

たとえば、テスト前に部屋を片づける行為。
結果が悪かったとしても、「いや、部屋片づけていたから、勉強あんまりできなかったんだよね」と言い訳ができる。

全力で取り組んで失敗したときに傷つくのがイヤで、自分を守る行為だ。

平匡もそう。

傷つくのが怖いから、女性と距離を取る。
“プロの独身”と自分を納得させて、関わろうとしない。

「自分は恋愛に興味がないんだ」「1人が好きなんだ」と必死で思い込んでいる。

しかし、みくりと一緒に過ごしていくうちに、心がかき乱される。
今まで抑えていた感情があふれ出てきて、しんどくなる。

モテる人がうらやましくて、ついつい余計なことを言ってしまう。

「いいなぁ、愛される人って。いいなぁ」なんて、ホンネも出てくる。
自尊感情を高めるためのスタートは、あるがままの自分をキチンと受け容れること。

「人に愛されたい」と思っていると、平匡は自覚する必要がある。
そして、そう思っている自分を否定するのでなく、受け容れる。
「ああ、自分は人に愛されたいと思っているな」と。

弱い部分、自分が避けている部分に目を向ける。

そうすることで一歩踏み出すことができる。

自己効力感を高めるためには、やっぱり必要なのが成功体験。
今まで女性と付き合ったことがない平匡が恋愛の自己効力感が低いのは当然。

女性と話した。
ハグをした。

些細なことが、1つ1つ自信になる。
「できる」となっていく。

子どもの勉強も平匡の恋愛も同じ。

はじめは、誰も自信のないところからスタートする。

うまくいったことがないものに対して、自己効力感が持てるハズもない。
根拠のない自信なんて、なかなか持てない。

誰だってそうだ。

子どもも大人も関係ない。

自尊感情は、積み上げていくもの。

たくさんの愛情をもらって自尊感情ポイントを加えていく。
たくさんの成功体験を積んで自己効力感ポイントを足していく。

そうやって人は成長していく。

平匡と同じように自分に自信が持てない、恋愛に自信が持てない人は少なくないだろう。

でも、心配することはない。
できることからコツコツ。
1つ1つやっていく。

遅いことは決してない。

大人になってからでも自尊感情を高めることはできる。

平匡がどんどん成長していっているように、誰でも、今ここから成長することができる。
ps
もう、火曜日が楽しみ過ぎる!!

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
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