【ダメ!絶対!】子どもを見守ることは、絶対にやめたほうがいいです。

「あたたかくお子さんを見守ってあげてくださいね」

勉強をしようと思い参加していた自尊感情に関するセミナー。
でも、僕は講師の人が言っていることがどうしても腑に落ちなかった。

自尊感情(自己肯定感)の定義や大切にしていることは同じ。
ほとんどの内容は、「そうそう!」と共感できるものだった。

ただ、1つだけ納得ができなかった。
「間違っている!」というわかりやすいものではなく、「なにかが違う」という違和感。

 

僕の親は、きっと“見守ってくれていた”と思う。
講師が言うように、あたたかく、優しく見守ってくれていた。

でも、僕は寂しさを感じていた。
「もっと見て欲しい」「もっとわかって欲しい」と思っていたのだ。

 

講師の人は、「あたたかく見守ってあげるのが大事です」と言う“正解”を、親は間違いなくできていた。
にも関わらず、僕の自尊感情は育まれていない。

頭では、わかっている。
自尊感情を育むために、とやかく口を出すのではなく、じっと見守ってあげる。
それが、その子自身を尊重することにもなる。

見守ることは、大切なハズ。
でも、それだけではいけないような気がする。

僕はモヤモヤしながら、帰路へ着いた。
心の霧が晴れたのは、それから少したった後だった。

違和感は、鈍い爪痕を僕に残していた。
しかし、それは見えない小さな痕。
そんなことがあったことも忘れて、『子どもの自信白書 2016』に収録するためのインタビューを撮りにいった。

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梅花女子大学の福井斉先生に、アンケートの結果について伺い、それにともなう仮説や今までの統計データなどを教えていただく。

そして、インタビュー。
なぜ、そのような統計になるのか、社会的な背景など、僕たちが疑問に思っていることをどんどん聞く。

そんなときだった。

福井先生の話がストンと落ちた。

 

学生とかで元気なさそうだったり落ち込んでいる子には、声をかけるんですよ。
「大丈夫かっ?」って。

でも、別にそれ以上なにもこっちからは言いません。まぁ、ほんとになにか言いたかったら勝手に来ますからね。ただ、ちゃんと伝えるんですよ。見てるよ!気が付いてるよ!ってね。

 

 

ああ、これだ。
ここに正解があった。

僕は、女子ばかりであふれかえっているスクールバスの中で思った。

そういうことだったんだ、と。

 

見守るは、恋愛と同じ

 

“見守る”とは、片思いと同じだ。
想いを胸に秘めて、外へ出さない。

ずっと好きな子を見ていても、気持ちは相手には伝わらない。

「好きだよ」と声に出して言わないと気づかない。

これだけ好きなんだし、きっとわかってくれるだろう。
と、思ってしまうかもしれない。

けれど、そんなことはない。

 

想いは、表現して初めて伝わる。

見守ることの違和感は、ここに答えがあった。

ただ、だまって見守っているだけでは、子どもには伝わらない。
片思いと同じ。

どれだけ相手が自分のことを好いてくれたとしても、なにも言ってこないとどう思っているのかわからない。
素っ気ない態度をするのは、自分に興味がない、自分を嫌っていると捉えてしまう。

いくら優しく、あたたかく見守っていたとしても、見ているだけでは子どもはわからない。

もしかしたら、親は「言わなくても伝わる」と思っているかもしれない。
恥ずかしくて言えないのかもしれない。

でも、それではいけない。

ちゃんと伝える、気持ちを届ける必要がある。

 

大切なのは、伝わっているかどうか

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ダックワース教授の『やり抜く力』には、「子育てで大切なのは、自分がなにをするではなく、子どもが親の行動をどのように捉えているか」と、書いている。

たとえば、子どもに対して思いっきり怒るとしよう。
そのとき、子ども自身がどう思うかが大事。

「親は自分のことを思ってくれている」と感じるのか、「うるさいなぁ」と思うのかによってメッセージの届きかたは全く違う。

「キチンと見ている」「優しく見守っている」と親が思っていても、子どもは「全く見てくれない」と思うのは、メッセージが直接伝わっていないのが原因だ。

だからこそ、ただ見守るだけではいけなくて、言葉や文字として表現しなければならない。

“見守る”というのは、「気をつけ大切にする」以外に「見て、番をする」「監視をする」という意味がある。

大切に思っているつもりでも、子どもにとってはただ、見られているだけに感じるかも知れないのだ。
僕が中学生の頃。
「もっとわかって欲しい」と思っていた僕は、学校のなにかで、親からの手紙をもらったことがある。
そこには、「期待している」「いつもガンバっているのを見ている」などと書かれていた。

親に見てもらっている、そんな風に思われているなんて一切思っていなかったので、驚いた。
と、同時にとても嬉しくてそれまでの人生になかったくらいに号泣した。
文字通り、崩れて泣いた。

それくらいに、すごく、すごく嬉しかった。
実際、言葉して伝える、手紙を通して子どもに思いを届けるのは、難しいかもしれない。

恥ずかしい。
どんなタイミングで言っていいかわからない。

いろいろあるだろう。

そこでオススメしたい方法がある。
インタビューのときに福井先生が語ってくれた“家族会議”だ。

『子どもの自信白書2015』にも少し触れているのだけれど、この方法はかなりおもしろい。
どこの家庭でも気軽に取りくめる。

家族で目標や振り返りを毎月おこなうのだそうだ。
お互いに期待していることや悩んでいることなんかも相談できるとても良い時間になる。

詳しくことは、こちらの記事(月1回30分でOK!? 家庭でできる子どもの自己肯定感を育てる秘訣とは!)を!

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
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