不登校の鍵は「信頼関係」―8/28奈良不登校親の会レポ

8月28日、奈良県橿原市で開催された不登校親の会に参加してきました。
なら人材育成協会さんが主催で、不登校のお子さんを持つ親御さんや関わる人たちを対象に奈良県内の各市で開催されているこの集まり。今回は「不登校経験者の進路選択」ということで、なら人材育成協会より宇陀さん・良知さん、D.Liveより僕(山本)の不登校経験者3人がパネルディスカッション形式で1時間お話しました。
不登校のときに通っていた場所や進路選択のきっかけ、大人に言われてショックだったことやうれしかったこと、などがトピックとして挙がりましたが、話しているうちに「これ、大事だなあ」と思ったことがひとつあります。
不登校1週間目のスクールカウンセラーの話
僕が不登校になって1週間くらい経った頃、家にスクールカウンセラーの方が来ることになりました。正直、どういう経緯でスクールカウンセラーが家庭訪問することになったのかは全然覚えていません。
だけど、その日が来るのが嫌で嫌でしょうがなかったことは、今でもものすごく覚えています。
そのカウンセラーの方に個人的な感情はありません。むしろ今となってはごめんなさい、という気持ちもあります。でもすごく嫌で、結局家庭訪問のときは一度も目を合わさずにいました。そして、それ以降カウンセラーが家庭訪問することはありませんでした。
僕はあのとき、誰にも理解してほしくない、というよりなんでいきなり面識のない人に学校に行きたくないことを話さなきゃいけないんだ、と言う気持ちでいっぱいでした。どこの誰かもわからない、「スクールカウンセラー」と名乗る人に何を話せばいいのか、何をすればいいのか、不安で仕方がありませんでした。
信頼関係を築く、ということ
もしもあのとき、少しでもカウンセラーの方と関係を築けていたのなら、まだ結果が違ったのだろうと思います。または、例えば担任の先生だったり、間に信頼のおける人がひとりでも同席していたのなら、心を開けていたような気もします。
パネルディスカッションでもお話したのですが、信頼関係が築けていないと自分の気持ちって絶対に話せません。駅のホームで電車を待つおばあさんに「僕学校に行きたくないんです」とは絶対言えないと思いますし、逆の立場でも「はぁ?」と思うだけでしょう。
子どもが不登校になると、必ず大人の助けが必要になります。もちろん親以外の大人を信用できない、中には親すらも信用できない子どももいます。ここで身近な存在である親を信用することができないと、問題解決が非常に困難になってしまうケースもあります。
子どもがそっぷを向いているから、と子どもとの関係づくりを断念するのか、アドラー心理学の「課題の分離」のように、一歩離れたところからいつでも援助する用意ができていることを伝えるのか。この考え方の違いは大きな誤差を生んできます。
今回のパネルディスカッションでも、「親との関係はしんどかったけど、こういう言葉を親からかけられて救われた」という話もありました。やはり親子の信頼関係が大事なんだなあ、とお話を聞いていて痛感しました。
不登校は「逃げ」ではない
先週のコラムでも書きましたが、18歳の自殺者数が一番増えるのが9月1日と言うデータがあります。そして明日は9月1日。昨日、深夜にスーパー銭湯のサウナで流れていた子どもの自殺に関するニュースに、どこからともなくため息が聞こえていました。
学校に行けない、行きたくない、と子どもたちがSOSを発したとき、どうすればいいかわからない、どう関わったらいいかわからない・・・という親御さんは、きっと多いと思います。でも、是非その気持ちを受け入れてあげてください。子どもたちは今、ボロボロに疲れ果てている状態のはずです。
不登校の子どもがひとりでなければ、不登校の親御さんもひとりではありません。学校、信頼のおける相談機関にぜひ子ども、親である自分の窮状を相談してください。今回僕がお話したのは奈良で開催されている不登校親の会ですが、こういった場は日本各地で定期的に開かれています。
勇気を出して声を上げれば、きっと道は開けると思います。
末筆ですが、今回お世話になりました「なら人材育成協会」のみなさま、本当にありがとうございました。なお、なら人材育成協会主催の不登校親の会では、10月1日に天理市にて弊団体代表・田中がゲストとして体験談をお話させて頂く予定です。詳細はなら人材育成協会さんへお問い合わせください。
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