子育ての講演で学べないことを学ぶ方法

ワークショップとは主体的に参加したメンバーが協働体験を通じて創造と学習を生み出す場
『ワークショップ・デザイン』
結論から言うと、僕は講演会には限界があると思っています。
「今、この瞬間。今ワシの話を聞いているこの瞬間、自分は何しとる?『座っとる』だけや。自分は今、『座っとる』だけや。この意味分かるか?確かに自分はこうやってワシの話を聞いとる。でもな、今、自分は何かを学んで、知識を吸収して、成長しとる思てるかもしらんけど、本当はな、成長した気になっとるだけなんや。ええか?知識を頭に入れるだけでは人間は絶対に変われへん。人間が変われるのは、『立って、何かをした時だけ』や」
– ガネーシャ-『夢を叶えるゾウ』
まさにこれなんですよね。
講演会がダメとは言いません。
僕も講演、やってますからね。
講演会で、「いい話聞いたなぁ」「勉強になったなぁ」と思っても、帰ったら日々の日常が待ってます。
「分かってるけど、忙しいからなかなか出来ない」ってなること、多くないですか?
子育ては、正解もないし、どうしたらいいか困る場面もたくさんあります。
だから、講演会や本を読んで学ぶことはとても重要で、きっとそこでの知識が役に立ったり、助けられている人もたくさんいるでしょう。
ただ、講演会はガネーシャが言っているように『座っているだけ』なんですね。
「知っている」「わかる」と「出来る」の間には大きな大きな溝があるんです。
どれだけためになる話を聞いたところで、活かすことが出来ないとモッタイナイ。
しかし、実際に聞いたことを実践しようとするのはなかなか難しいもの。
そこで、僕がオススメしたいのがワークショップです。
ワークショップは、簡単に言うと”体験型学習”です。
ポストイット(付箋)を使い、模造紙にいろいろ書くような感じのワークです。
LEGOなどを使うこともあります。
講演会とワークショップの最も大きな違いは、主体性の有無です。
講演会は、質疑応答があるとはいえ、ほとんどが聞いているだけ。
しかし、ワークショップは自分自身で考え、発言し、書いていく。
より実践的で、ワークを通して学びを体感出来ます。
たとえば、先日おこなった親子TRY部のワークショップを例に見てみましょう。
コンセプト(学ぶテーマ)は、『強みを活かす』『良いところを伸ばす』でした。
「子どもの良いところを見つけましょう」
「良いところを伸ばしていくのが大事です」
よく子育てでは言われることですよね。
しかし、実際は悪いところ、出来ていないところばかりが目に付いてしまいます。
今回のワークショップでは、その当たりに主眼を置いて、ワークをおこないました。
イベントテーマは、『会社を作ろう!』
大人と子どもがチームになり、みんなの強みを活かして、なにが出来るかを考えます。
この日は、小学3年生〜6年生が参加。
制限時間内に、世の中にどんな仕事があるのかを書き出すところからスタート。
そのあと、「殴られ屋」や「プラントハンター」など、少し変わった職業を紹介し、他にどんな仕事があるのか『13歳のハローワーク』を参考にして、見ていきました。
そして、ここからが本番。
自分の得意なことや好きなことを書き出していき、みんなの得意を組み合わせてどんなことが出来るかを考えました。
このワークをはじめるとき、みんなに2つルールを言いました。
「批判厳禁」と「アイデアは、量より質」です。
どんな突飛な意見が出てきても、受け止めてくださいとお願いしたのです。
講演会で、「子どもの良いところを見つけましょう」「どんなことも受け止めましょう」と言われたところで、実践するのは難しい。
しかし、ワークショップではスグに実践が出来ます。
いや、実践してから学ぶのです。
「水と鉄棒を合わせて、水鉄棒。これは、水で出来ている鉄棒やねん」と、小学3年生の女子が言いました。
家だと「なに言うてんねん」と一蹴するところ。
でも、”批判厳禁”なので大人の人たちは、なんとかして受け止めようとします。
四苦八苦しながら。
「んん?どういうこと?」
「へぇ、いいやん」
なんていうのが正解かもわからず、試行錯誤しながら声をかけます。
これが学びだと僕は思うのです。
人から教えてもらったことは、スグに忘れてしまいます。
しかし、自分で苦労しながら学んだことは、糧になるのです。
ここがワークショップの醍醐味です。
子どもに対してどのように接して欲しいか、細かいリクエストは言ってません。
ただ、いくつかのルールを作っただけ。
ゲームのように、楽しみながら取り組める課題だからこそ、真剣に取り組むし、試行錯誤も苦しくありません。
「講演を聞いていると、出来ていない自分が責められている気持ちになるのです」と、子育てをしているお母さんに聞いたことがあります。
でも、ワークショップではそんなことはありません。
教えてもらうのではなく、自ら学ぶ場だからです。
講演では、たくさんのことを話すことになります。
1つのことだけでは、間ももちません。
しかし、ワークショップだと1つのテーマだけで2時間も取り組むことが出来るのです。
今回のテーマは、「子どもの良いところを見て欲しい」と思って決めました。
だから、子どもたちには自分の得意なことや好きなことを出してもらい、批判厳禁のルールを設定したのです。
参加者の人たちは、「子どもたちの良さを引き出すにはどうしたらいいだろう?」と必死に考えたことでしょう。
(何度も言いますが、僕は「子どもの良さを引き出してください」とワークのときには言っていません)
1つのテーマ(学ぶこと)に対して、じっくり考え、試行錯誤出来るのがワークショップの良さです。
「子どもの良さを伸ばしてください」ということだけで、2時間講演されると飽きますよね?
でも、ワークショップならそれが出来るのです。
1つテーマに関して深く学べる。
それが、ワークショップです。
講演とワークショップ
ここまでワークショップの良さを語ってきたのですが、決して講演は聞く必要がないと言いたいのではありません。
知識を入れることも大事です。
しかし、ただ知識を入れたとしても、実践出来ないと意味がないので、そのためにワークショップが良いという話です。
要は、大切なのはバランス。
知識ばかり入れるのも良くないし、ワークショップばかりに参加して試行錯誤ばかりなのも問題。
講演ばかり聞きに行っている、講演は少し飽きた。
そんなかたには、ぜひワークショップへの参加をオススメします!
でも、まちづくりなどで取り入れられている手法というのもあり、子育て系のワークショップは、まだまだ少ないのが実状です。
もし、どこかで開催されていれば、ぜひ参加してみてください。
講演会とは、また違った感覚を得ることが出来るハズです。