「私は私であって大丈夫」高垣先生が語る思春期の子どもを認める関わりと自己肯定感

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思春期という揺らぎの時期にある子ども達に、どのように関わっていけばいいんだろうか。
カウンセラーとして30年以上不登校の子ども達の話を聞き、自己肯定感を育むことの大切さをいち早く訴えた、高垣忠一郎先生(立命館大学名誉教授)をお招きし、8月4日に講演会を行いました。

「思春期の子どもをまるごと認める関わり方」というテーマでお話しいただいた内容をご紹介します。初めてこのブログを読んだ方も、興味があったけどこれなかった方もぜひ参考にしてください。

 

不登校は産みの苦しみ

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高垣先生:不登校は産みの苦しみなんだ。それが、私の不登校の理解の一番の原点です。いろんな意味を持った不登校があります。でも、不登校は単なる、否定的な出来事ではないんです。前に進もうとするほど、つまづくんですよ。子どもはこれまでの自分を脱皮しようとしている。模索している。不登校や登校拒否はきっかけでしかない。だから、私たちは子どもの自由な生き方を援助しないといけない。そういう意味では単純に学校に戻せばいいというものではない。せっかく、自分探しの旅をして、また元に戻ったらどうするんだ。これを教えてくれたのが、初めてのクライアントでした。だからぼくにとっては初恋みたいな人です。

 

 

あれがいい、これがいいって試しながら本当の自分を見つけていく

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高垣先生:みなさんは服を買われる時、すぐにこれがいいと思って買いますか。それとも試着しますか。
どうですか。

ーーーしたり、しなかったりですね。これだと思ったものはすぐにかいます。

 

高垣先生:あなたはどうですか。

ーーー私も、これだと思ったものはすぐに買います。でもだいたい3、4回くらい試着しますね。

高垣先生:いろいろあるんだね。でも、服でも3、4回試着するのに、いわんや自分というものを見つけるのに、いろいろ試してみないと。でも、自分たちはそれをやれますか。やれないよ。30代の男の人が言ってたの。小学校から、いい中学校いくためにとりあえず勉強する。中学校でも、いい高校にいくためにとりあえず勉強する。高校でも、いい大学いくためにとりあえず勉強する。それでずっとやってきたって。もうたまらんって言って、高校のときに「とりあえず路線」から降りたの。降りたら、何か見えるかといったらそうでもない。でも何か、「とりあえずとりあえずで生きてきたら、いつになったら本当に人生が見えるんだ」と気付いたの。

立ちどまってみても何かあたらしい見通しはないですよ。周りの人に掛けられるのは、全部決まり文句。

「何をやってるんじゃお前」

しんどい。悩んで、苦しんだりもする。でも、「どうしたんや?」って聞いてくれる人がいない。そこに、引きこもり支援のスタッフのにいちゃんにあって、話を聞いてもらってようやく彼は一息つけるようになったんです。

 

今の子どもたちはあれこれ試すことができないよ。「とりあえずとりあえず」で、ずっと走らされて、いつになったら本当に自分になれるの。誰の人生を生きてきたんだ、退職したら本当の自分になれるのか、そう思うようになります。そうなったら自己肯定感なんてなくなっちゃうよ。

 

 

自己肯定感は、自分が自分であって大丈夫という感覚

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高垣先生:今、自己肯定感という言葉が、定義もされないままいろんな形でつかわれています。みなさんはどんな意味で使っているのか、私は聞きたい。自己肯定感は「愛」の延長線なんですよ。私は私であって大丈夫という感覚です。この自己肯定感はどうやって育ってたらいいと思いますか。褒めればいいですか。確かに一生懸命やってもけなされたり、認めてもらえない子もいますから、そういう子にとっては褒められることも大事でしょう。

でも、私が言ってる褒めてやって自己肯定感は育つものではありません。みなさんは褒められたら嬉しいですか。僕も嬉しいですよ。でも嬉しいだけですみますか?どうですか。僕だったら、プラスαがついてくるんですよ。僕は小さい時は結構いい子でした。期待に応えて、勉強もしたら成績もよかったです。でも、いい子のまま僕が講演したら、嬉しいだけじゃなくて褒められるような講演をしつづけなければならないと追い込まれてしまいますよ。

 

褒められると、褒められ続けなければならない。褒められるようないい子でい続けなければならない。どんどん追い込まれてしまう。そういう「いい子」がめちゃくちゃ多いですから、そんな子には褒めればいいってものじゃないんですよ。褒める相手の価値観をどんどん自分の中にとりこんでいってしまう。そういう落とし穴があるんです。

 

 

高速道路のような社会を、自分のペースで生きるために

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高垣先生:高速道路みなさんわかりますよね。びゅんびゅん走っています車が。でもずっと走れるわけじゃなありません。人間ですから疲れます。疲れたら、みなさんどうします?

ーーー寝ますね、休憩します。

高垣先生:休憩しますよね。SAにいって、トイレに行ったり、ガソリンを入れたり、休憩して自分を整えて本線に戻るんですよ。私は、今の子どもは同じペースでびゅんびゅん高速道路を走っている車と、完全にダブって見えるんですよ。速いペースについていける子どもはいいですけど、ついていけない子どももいるんです。オーバーペースで走っていたら、ストレスがいろんな形で出てくるんです。僕が僕でなくなっちゃいそうだ、自分が壊れそうになる。そんな子どもが出てきたんですよ、いっぱい。子供達が自分を取り戻せるように、時間とゆとりと援助しないといけない。そうでしょ。

ところが、なかなかそうはならなかった。休んでたら、みんなにおいつかくなるんじゃないか。休ませていたら、ますます嫌なことから逃げるダメな子供になってしまうじゃないか。そういう不安が親や先生のこころをもたげてくるんです。だから、いい加減本線にもどれっておもうんです。

一ヶ月、二ヶ月、一年。
ずいぶん、休んでたじゃなかって。

 

高垣先生:子どもにとっては小学校から、ずっと走らされ続けてきたんだよ。とんぼをとったり、蝶々を追いかけたりのびのびと遊べず、エネルギーの充電もなしにひたすらに塾に行ったりして突っ走ってきたんだよ。この間に忘れ物をしてきたんだよ。人間になる仕事を忘れたんだ。人材になるために一生懸命走ってきたけど、人間になる仕事はすっかり忘れられてしまった。だから、僕に言わせたら不登校や登校拒否は人間になる仕事を一生懸命取り返してるんだ。

 

みなさんね、例えばですね?

寂しいな、しんどい、疲れたな、と感じたらどうしますか。立ち止まって、自分の心に耳に傾けますか。やってないかな、忘れているでしょう。心の中が整理されないままにストレスが溜まったら、心から溢れて爆発しますよ。一つは、行動化(問題行動が出る)。二つは、身体化(体に出る熱、吐き気)です。不登校の子どもも同じように、耳を傾けやらないといけない。

 

しかし、余裕がない人がたくさんいます。だから、まず自分はこういうことで、自分は辛いんだと自分は気付かないといけない。それをわかるために、寄り添ってやらないといけない。カウンセリングこういう仕事なんだよ。それで初めて、自分自身を愛しくなる。愛しく感じる私は私なんだってわかってくるんだよ。(おわり)

 

この講演は、「子どもの自信白書2016」に掲載されます。ブログでご紹介できなかった部分もまとめて記事になります。「子どもの自信白書2016」は10月末ごろ完成予定です。子どもの自信についてのアンケート調査結果や、子育てについて聞いた保護者の座談会など、たくさんのコンテンツがございます。思春期の発達や心がわかる子育て手帳のようなものになればと鋭意作成中です。

 

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得津 秀頼

得津 秀頼

D.Live副理事/元小学校教員 自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。 自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。