三つ星レストランシェフから学ぶ子育ての極意

東京にあるレストラン。
席数は、30席。

「フランス料理の革命」と呼ばれる料理を作るシェフは、33歳にして『ミシュランガイド東京』にて三つ星を獲得した。

シェフが大切にしていることは、
プロデュイ(素材)、キュイソン(火の入れ方)、アセゾネ(味付け)だ。

 

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料理を考える前に食材と向き合い、徹底的に素材の魅力を探りだす。
そして、低温長時間ローストという独特の火入れ法。
岸田(シェフ)の真骨頂が現れるのが、火入れの技術だ。 岸田は、肉に一度に火を入れない。オーブンで1分間焼いてはすぐに取り出し、レンジの上の温かい場所で5分間休ませる。
オーブンの火力で焼くのではなく、余熱で肉に火を入れる。
1分焼いて、5分休ませることを繰り返して2時間半。
仕上がった肉は、芯(しん)まで火が通っているが、生焼けとみまがうほどみずみずしい。
– プロフェッショナル 仕事の流儀 –

目次

プロデュイ(素材)

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その素材のいちばんの魅力を引っ張り出すことを考え、ひとつひとつ、火の入れ方、そして味付けを考えるのが僕の仕事です。 

子育ては、料理に似ている。

いかに素材の魅力を活かすか。

なにが向いているのか。
どんなことが好きなのか。

素材(子ども)と向き合い、対話して、考えていく。
どんな調理法が合うのか、どんな食材を合わせると良いのか。

正解はない。

たとえば、筍(たけのこ)
掘りたて・朝掘りがいいと言う人もいれば、その場で茹でたものがイチバンと言う人もいる。

調理し、確かめてみないとわからない。

子育ても同じ。

育児本を読んだところで、子どもは十人十色。
その通りに出来るハズがない。

性格や特性、興味によっても関わり方は変わる。

だからこそ、向き合うことが大切。

同じ魚、同じ野菜でも採れる場所、時期が変われば調理の仕方や味付けは変わる。
「子ども」と、ひとくくりにして考える訳にはいかない。

たとえ我が子であっても、昨日と今日では違う。
食材の鮮度が変わるように、日によって子どもも変わる。
調子が良い日、テンションが低い日、イライラしている日。

人は、見ているようで見ていない。
彼女が髪を切ったことを気が付かない男性がいるように、人は見ているようで見ていないことがある。

じっくりと向き合う。

簡単なようで、難しい。

「忙しいから」「時間がないから」
ついおざなりにしてしまいがち。

けれど、素材(子ども)はいつだって生きている。

キュイソン(火の入れ方)

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毎回、素材に出会うたびに、どう火を入れたらベストなのかを考えるのです。

肉は焼きすぎると固くなる。
だからこそ、オーブンから出し、余熱で火をとおす。

子どもも、ずっと目をかけ、過干渉では育たない。
たくさんの人と接することで、学び、成長する。

家以外の場所がまるで余熱のように、子どもたちを成熟させていく。
ただ、余熱ばかりにまかせてもいけない。

シェフは、焼いて、休ませてを繰り返す。

手間をかけることも大事な要素。
じっくり向き合うこと、しっかり話すことなども手間をかけることになる。

手間をかけながらも、余熱で火をとおすように他人にゆだねる。

このバランスが子育てには求められると僕は思う。

親だけがかかりっきりではいけないし、他人に全て任せるのも良くない。

これは、素材の話と同じで、子どもによってバランスは変わってくる。

対話をするようにひとつひとつの食材を知り、おいしくするための火入れを考えます。
それは、燃えるような強火で激しく入れることかもしれないし、弱火どころか、予熱くらいに優しい熱かもしれない。


アセゾネ(味付け)
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料理に正解がないように、子育てにも正解なんてない。
ただ、自分の料理(子育て)を追求していくだけ。

温調理は数ある火入れの方法のひとつにすぎません。
そもそも、かなりリスキーな側面もあり、香ばしさがないから臭みが出てしまったり、生ぬるければ台無しになったり。
これも結局、徹底的に素材の魅力を探した結果、ある食材に対しては低温で火を入れるとその素材の魅力がいちばん出るな、という結論に達したわけです。

試して、考えて、工夫して、そうやって料理は完成する。

1皿の中には、たくさんの試行錯誤が隠されている。
たとえ、“天才シェフ”と謳われる人であっても、すぐに料理が完成することはない。

素材と向き合い、火入れを考え、調理法や食材の組み合わせを選んでいく。
そうやって、キュイジーヌ・コンテンポレーヌ(現代的な料理)は出来上がる。

子育て本やマニュアルも良いけれど、そればかりになってしまうと本質を見失ってしまう。

目の前にいる子と向き合い、なにが良いのか、どうすればいいのかを、何度も何度も試行錯誤しながら取り組んでいくことで、良い料理(ステキな子ども)が出来上がる。

人の調理法を気にする必要なんてない。
素材が違うのだから。

スペイン料理やフランス料理、トルコ料理、日本料理。
それぞれに良さがあるように、あなたの子育てにも他の人にない良さがきっとある。

子どもも同じ。
筍とカツオが比べられないように、子ども同士を比較することなんて出来ない。
あるのは、それぞれが違うという事実だけ。

あなたがおこなうのは、ただただ真摯に目の前にいる子と向き合うことのみ。

うまくいかない味付けや焦がしてしまうことなんて料理人にとっては、日常茶飯事だ。

子育てがうまくいかないことなんて当たり前。

「こんな子に育ってくれたらいいな」という理想を持ちながら、明るい気持ちで工夫や試行錯誤を楽しめるようになれば、きっと子育てはもっと楽しく、もっとラクになる。

 

昨日より今日、今日よりも明日。例えわずかでも進化する自分でありたい。  
岸田 周三

【参考】

 

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カンテサンスが3つ星を取り続ける理由

 

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岸田周三 星を越えていく者

 

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プロフェッショナル仕事の流儀

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
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