大学生のとき、大切なことはすべてスターバックスで教わった

僕は今、NPO法人を立ち上げて代表として仕事をしている。
けれど、今の自分があるのは、学生のときにスタバでバイトしていたことが大きく影響している。
きっとスタバでの経験がなければ、今のような仕事ができてなかったと思う。
それくらいたくさんのことを学び、成長することができた。

目次

これは、僕がスタバで経験した物語。

一歩を踏み出す

「スターバックスで好きな飲み物は、なんですか?」
僕は、スタバのバイト面接を受けていた。

「コーヒーフラペチーノです」

答えたものの、正直スタバなんて全然わからなかった。

行ったこともほとんどないし、注文の仕方もわからない。

「スターバックス、どう思います?」
空気を読めない僕は、すぐさまこう言った。

「高いと思います」

もう、完全なイメージで大学2回生の僕は喫茶店にも行かないし、普段カフェなどを利用しないのでお金の相場もわかっていなかった。
「喫茶店よりは、安いんだけどなー」と、面接してくれた女性は少し困った顔をしながら答えてくれた。

数日後、バイトの面接に受かったとの連絡をいただく。
正直、なぜ受かったのかわからなかったけれど、うれしかった。

ほとんど行ったことのないオシャレなところへの面接。
かなり緊張した。

「自分なんかが行っていいのか!?」なんて思っていたけれど、いざ言ってみると面接は楽しくって、帰るときには「スタバで働きたい」と強く思うようになった。

一歩踏み出すこと、違う世界へ飛び込むことで今までとは景色が変わる。

叱るとフィードバックの違い

正直、自分は出来るって思ってた。
根拠のない自信。
でも、違った。

スタバは、覚えることが山ほどある。
レシピは持って帰れないので、店に残って勉強するか、ノートに書いて家でやるか。
なんとなくで覚えた気になっていると、全然太刀打ちできない。
新人とか関係ない。

「なんでレシピ覚えてないの?」と先輩から厳しい言葉をもらう。

やるべきこと、出来ることをしっかりする。
ただそれだけのことが、そのときの自分は出来なかった。

背伸びをして、「カッコイイ店員になりたいなぁ」なんて妄想だけを膨らませて、目の前にあるやるべきことはなおざりに。

いつの間にか出来ないやつというレッテルを貼られた(そう思われていると思ってた)僕は、個別で指導してくれる社員をつけてもらった。(つけられた)

20代後半の彼女は、すごく怖くて、ほんとにイヤだった。
自分が仕事できないのにも嫌気がさし、「なんでこんなにできないんだろう」と悩んだ。

入って1ヶ月くらいたったある日。
店長に「話がある」と呼ばれた。

「ああ、クビって言われるんだな」と内心思った。

「あのね、私たちが口うるさく言っているのは、あなたに期待しているからなの。
もしかしたら、怒られていると思ってるかも知れないけれど、それは違うよ。
こうやって言っているのは、フィードバックであって、叱っているわけではないの。

変わって欲しいと思って改善点をフィードバックしてる。
だから、いろいろ言われるってのは、まだ期待されてるってことよ。

なにも言われなくなったときのほうが気をつけて。
もう、言うのをあきらめたってことだから」


まさか、こんなことを言われるなんて思ってなくて驚いたけど、そう言ってもらえてただただ有り難かった。

それを言われてから、僕の態度は変わった。
あらためてしっかりとレシピを覚え直し、フィードバックを前向きにとらえた。

「これどうやったらいいですか?」
「前に言われたところ、出来るようになってます?」

積極的にフィードバックをもらうようにもなった。
「怒るとフィードバックは違う」ということを学んだのは、この後の人生にとってもスゴク大きかった。
誰かから言われる意見も前向きに捉えることが出来るようになったから。

自分で考える

スタバでは、接客のマニュアルがない。

研修制度はすごくしっかりしているけれど(研修する場所まで出向いて、半日のワークショップを何回か受ける。そのあとは、店でもみっちり研修がある)接客について教わることは、すごく少ない。

ミッションやスターバックスらしさをみっちり教わり、そこからは「あなたが思うスターバックスらしさを表現してね」という感じで、現場に出される。

そうなると、自分で考えるしかない。

どうすれば、いいのか?
どんな接客が良いのか?

スタバのスタッフは、お客さんに喜んでもらおうという気持ちがすごく強い。

先輩は、常連のお客さん(仏頂面のおじさん)と「なんとか仲良くなりたい」と言って、毎日少しずつ声をかけて、笑顔で毎日来てくれるようになっていた。

そんな背中を見ていると、自分も「喜んでもらいたい」と思って、自分なりの接客を模索していく。
(何回か来てくれる人のオーダーを覚える、好みを覚える、好きな話題をふるなど)

仕事とは、自分なりの工夫をして取り組むことだと先輩たちの背中を見ながら思った。

仕事が楽しいかは、自分次第

あなたは、「仕事」とはどんなイメージだろう?

しんどいもの?
義務?

僕は、どんなに就活で忙しくても出来るだけバイトには入りたかった。
それくらい楽しかったから。

スターバックスは、コーヒー屋。

けれど、僕は「コーヒーを煎れる仕事」だとは思っていなくて、「お客さんの幸せをつくる仕事」だと思っていた。

通勤前で、憂鬱なサラリーマン。
就活中で疲れている大学生。
旅行中の外国人。

ただ、頼まれたものを作るだけではなく、お店から出て行ったときに、なにか小さな幸せや喜びを感じてもらえたらいいなと思い、接客をしていた。

すると、1杯のドリンクを作るのもワクワクしてくる。
ただオーダーを聞くだけじゃなくて、少しおしゃべりをしたいなぁと思う。

どんな仕事と捉えるのか。

ただのバイトだと思って、なにも考えずにコーヒーを作るのか。
来た人の幸せを思い、どうしたら喜んでもらえるかを考えながら接客するのか。

仕事の内容は同じかも知れないけれど、自分次第で仕事は楽しむことが出来る。

自分なりの一歩を踏み出す

学生の僕は、コーヒーなんて飲む習慣もなく、2005年の当時は今ほどスタバも多くなかった。
「なんとなくおしゃれなカフェ」としか認識してなくって、ほとんど知らないお店。

そんな、ほとんど行ったこともない、まるで自分には似つかわしくない場所へ思いっきり飛び込んだことで、僕はたくさんのことを学ぶことが出来た。

他人から見たら小さな一歩かも知れない。
けれど、その一歩を踏み出せば新たな経験、今まで知らなかったことを学ぶことがきっと出来る。

たくさんの大切なことを僕はスターバックスのアルバイトで教わった。

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
詳しいプロフィールはコチラから

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