子どもが安心して失敗できる教室。

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はじめて自転車に乗れた日のことをあなたは覚えているだろうか?

補助輪をはずし、何度も何度も倒れ、繰り返しチャレンジしたあの日々を。

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小学校へ上がる前。

夕方、父と一緒に公園へ行き、自転車に乗れるようになるために何度も練習をした。

膝を擦りむき、「もうやらへん」と言って家に帰ることもあった。
けれど、繰り返し練習をすることで、少しずつ上達し、ある日一人で乗れるようになった。

20年以上前のことだけど、自転車の練習をしていたときの情景を僕は今でも覚えている。

 

どんなことでも、上手くなるためには失敗が必要。
はじめから補助輪を使わず自転車に乗れる子がいないように、最初は誰だって失敗する。


早く失敗する

TRY部の授業で僕は生徒に「早く失敗することが大事だよ」と話した。

失敗は、誰だってする。
それなら、早く失敗したほうがいい。
そのほうが、次の行動にうつれる。

自転車に乗れないからと泣いている時間があれば、何度でもサドルにまたがってみること。
倒れて、こけて、ケガをしながら学んでいくことが大切だ。

けれど、「じゃあ、失敗しなさい!」と言ったところで、具体的にどうしたらいいかもわからない。

頭では「失敗してもいい」ってわかっていても、いざ自分のことになると「失敗したくない」と思うもの。

 

大事なのは、安心して失敗できる環境

 

残念ながら今の子どもたちには、そのような環境はほとんどないのが現状。
守られ、ケガさえしないような配慮がとられる。
すべてが用意され、失敗しないように安全なルートがつくられる。

まるで、ガターのないボウリングのように、決して失敗しないように大人が守る。

誰だって子どもに失敗させたくない。
痛い思いをしている我が子を見ているのは苦しい。

だからこそ、僕は安心して失敗できる環境を子どもに用意することが大切だと思う。

 

たとえば、プレーパーク。

子どもにノコギリやかなづちを使わせ、ケガしても「まぁ、そんなこともあるよね」と温かく見守る。
しっかり大人が見ていて、致命的なケガをしないように配慮がされている。

敢えて失敗させることはないけれど、失敗も許容できる環境がプレーパークにはある。

 

振り返りから学ぶ

TRY部では、生徒が毎週計画と振り返りをおこなう。

多くの人は、計画が重要だと思うかも知れない。
けれど、本当に大切なのは“振り返り”だ。


子どもたちが計画を立てるとき、失敗を前提にしている。

完璧な計画なんて立てられるわけはないし、どれだけ綿密に作ったところで実際にやってみると想定外のことは起こりえる。

思っていなかったこと。
うまくいかなかったこと。

「ああ、うまくいかなかった」で終わらせるのではなく、「なんでそうなったのか?」をじっくり考えることで、次へ繋げられる。

だからこそ、振り返りのほうが実は大切なのだ。

日々の中でおきる小さな失敗。
「まぁ、次ガンバろう!」と見逃してしまいそうな失敗としっかり向き合い、改善していく。

計画を立てるとき、生徒は、「まぁ、やってみる!」「試してみる」と、よく口にする。

どうやってやるか、どんな目標を立てるのか考えることは大切だけど、頭でっかちになってもいけない。

しっかり(じっくりではない)計画し、どんどん行動し、 どんどん失敗する。
計画と行動のサイクルを早く回していくことで、成長し、成功に近づいていく。

 

ゲームから学ぶ

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この日の授業では、『マシュマロチャレンジ』に取り組んだ。

使うものは、下記。

スパゲティー20本
マスキングテープと紐を90cmずつ
マシュマロ
このパーツを使って、マシュマロをいかに高くに立てるかを競うゲーム。

見学に来ていた大人チーム VS 子どもチーム

順調に組み立てていく大人チーム。

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一方、「天井につるそう!」というアイデアを却下され意気消沈した子どもチームは、諦めモードに。

1人1人がバラバラに取り組む。

「お腹すいた」
「こんなん無理やし」

集中力が切れ、愚痴をこぼす子どもたち。

そうこうしているうちにタイムアップ。
結果は、当然のことながら大人チーム。
子どもたちを集め、振り返り。

「マシュマロがあかんねん」
「大人に勝てるわけないねん」

誰かのせいにする子どもたちの話しを聞きつつも、「うまくいかなかった原因はなんだろう?」と聞いてみる。

すると、「チームワークがなかった」「すぐに心が折れてしまった」「大人チームがうまくいっているのを見て、諦めた」と、課題や問題点が出てきた。

僕も見ていて感じたことを生徒に話す。

大人チームは、常に手を動かしてた。どうやったらうまくいくか試行錯誤してた。
けど、みんなはどう?
『でけへーん』『むりー』って言って、手止まってたやん?
今日の授業で話したこと覚えてる?
『早く失敗すること』って言ったよね?
時間ギリギリになって初めてマシュマロが重くて倒れることがわかったよね?
どんどんチャレンジして、改善していくことが大切やで。


「あー」とか「うー」とか「そっかー」と声をもらす生徒たち。

フィードバックをしたあとで、「じゃあ、どうしたら良いだろう?」と改めて僕は聞いた。

「みんなで一緒にやる。一人だけでやらない」
「うまくいかなくても、心折れることなくガンバる」
「とにかく、手を動かす」

改善案がいくつか出たので、それらを心がけることにして再チャレンジ。

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さっきとはうって変わって、試行錯誤しながら取り組む子どもたち。
1人だけが勝手に行動することはなく、みんなで1つの制作物を作っていく。
コミュニケーションも増え、改善策もどんどん提案される。

結局、大人チームには勝てなかったものの、生徒たちはしっかり失敗から学ぶことが出来ていた。

 

TRY部は、子どもがどんどん失敗出来る場所

 

ついついおろそかにされる振り返りをじっくりおこない、「どうしたらいいのか?」を一緒に考える。

失敗は、一つの大きな経験。
けれど、振り返りをおこなわないと、ただの“うまくいかなかった出来事”。

なぜ失敗したのか、自分と向き合うことで初めて経験になる。

今回のマシュマロチャレンジも同じ。

生徒は、「大人チームと比べてしまい、やる気がなくなった」と言った。
これは、子どもたちの日常でも起きていること。
誰かと比べてしまい、やる気をなくすことがある。

振り返りをおこなうことで、日々の行動や自分のクセにも気づける。

自転車に乗る練習のとき、後ろから支えてくれていた父のように、僕たちはこれからも生徒の伴走をする。

そして、補助輪(大人のサポート)がなくても、社会で戦えるチカラを養っていく。

TRY部は、子どもが安心して失敗できる教室だ。

 

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田中 洋輔

田中 洋輔

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒 中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。 しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。 野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。 浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。 友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。 フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。 京都新聞にして子育てコラムを連載中。 詳しいプロフィールはコチラから