子どもたちが自分をさらけだすことが出来る教室のヒケツ

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まるで学活のような授業。
遊んでるかのようにワークを楽しむ。
係活動のように必死になって制作物に取りかかる。

それが、TRY部。
この日のTRY部は、新しい生徒が参加。
そのため、コミュニケーションをじっくりとるワークを実施。

TRY部は、生徒が「ここだったら、先生にも友達にも言えないことが言える」と言う。

実は、それには秘密がある。
TRY部では、安心感が持てるための場作りをとても大切にしている。

この日は、まずは自己紹介から。
紙をトレーディングカードに見立て、ニックネームや似顔絵、特徴などを書いていく。

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新しく来た彼は、「書きたくない」と言う。
さて、他の教室ならどうするのだろう?

書かせる?
ほっておく?

僕はまず、なにがイヤなのかを確認した。
それは、診察する医者のように、なにが問題かを確認する。

彼は、「自分の似顔絵を描くのがいや。絵を描くのは好き」だと言う。

自己紹介の時間はあまり多くなかったので、なになら出来るかを確認して、紙に自分の名前を書いてもらった。

「それなら出来る」と言って、彼はA4の紙に小さく自分の名前を書いた。
大事にしているのは、1人1人の子を尊重すること。
それは、わがままを聞くこととは違う。

相手が出来ること、こちらがやって欲しいことをすりあわせる。

「これをしなさい!」と命令するほうが簡単かも知れないけれど、それだと結局のところ子どもたちは「わかってくれない」となる。

子どもの意思表示はとても大切なメッセージだ。

砂漠の中から出てくる微かな水滴のように、大事に大事にすくう。

100%子どもを理解することなんて出来るわけない。
けれど、出来るだけ理解するように努めたいって思う。

それが出来るのは、少人数の強み。

じっくりと1人1人に向き合える。
学校だと、どれだけガンバっても出来ないことがここでは出来る。

自己紹介が終わると、意見一致ゲーム。

たとえば、「スポーツと言えば?」という問題に、全員が同じ正解をするように考える。
考えてみて欲しい。

はじめて来る教室。
大人でも緊張する。

「みんな受け入れてくれるかな?」
「嫌われたらどうしよう?」

たくさんの不安の中で新しく来る生徒は勇気を持って参加してくれている。
そんな不安いっぱいな彼を、大きく手を広げ「Welcome!」と歓迎するのが僕たちがやるべきこと。

かと言って、昔の青春ドラマよろしく「さぁ、僕の胸に飛び込んでおいで〜」と言ったって、しらけるだけ。

だから、どうすれば新しく来た生徒が楽しく参加出来るか、ワークを考える。
このゲームは、アイコンタクトが生まれる。

「あれかな?」「それかな?」
言葉以外のコミュニケーションがとれる。
なおかつ、答えが一緒だと一体感が生まれる。共感が生まれる。

大人の見学が来ていたので、子どもチームVS大人チームにしたことで、より対抗心が増し、本気になっていた。

自然に生徒同士の会話も増える。

「あ〜、そっちか〜」
「え〜、それーー!?」

はじめの自己紹介では堅かった表情の彼がだんだん和んでくる。

次のワークは、LEGO。

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事前に僕が作ったもの(正解)と同じもの(形も色も)を各チームに作ってもらうことに。

ルールはシンプル。
正解を見に行ける人は1人だけで、その人はLEGOに直接触れず、口だけで説明する。

これも同じくチーム戦。
先に完成させたほうの勝ち。

正解を見たものの、自分のチームへ戻ってくると完成の形を忘れて四苦八苦する生徒や大人たち。
このゲームも意図は、チームとしての一体感。
共通のゴールを設定し、取り組むことで仲は深まる。

正解を見にいける人もローテーションにして、1人1人が主役になれるように設定。
1人のリーダーが引っ張るのではなく、みんなが活躍出来るルールをつくり、みんなが参加できるようにしたのも重要な部分。

授業を作るとき、誰かを決め打ちで主役にするパターンと全員を主役にするパターンの2つがある。

誰かを主役にするときは、だいたいがその子が悩みを抱えていたりして、その子に届けたいプログラムの場合。

今回のLEGOは、後者。

全員が主役になれるプログラム。
ゲームの要素を取り入れながら、「ここにいてもいいんだ」「受け入れてもらえている」という感覚を育む。

一見すると、ただ遊んでいるだけに見えるかも知れないけれど、1つ1つのワークには意図を持ち、綿密にプログラムを作っている。
1戦目は、大人チームがかなり早く正解にたどりつく。
しかし、ハイライトはこの後に待っていた。

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振り返りをして、もう一度おこなうリベンジマッチ。
勝利したのは、子どもチーム。
勝因は、振り返り。

「もっとローテーションを早く回してみよう!」と生徒たちが決めたのがうまくいった。

ゲームにすると、子どもは負けたくないという気持ちが出てきて、振り返りも懸命におこなう。
その結果が第2戦での勝利。
振り返りの大切さも感じて欲しかったからこそ、あえて第2戦をもうけた。
同志社女子大学の上田信行先生は、「楽しければ、学びがある」と言う。
本当にそうだと思う。

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最近、ブログラム作りで大切にしているのは、どれだけ子どもたちがワクワク出来る内容にするか。
どれだけ楽しめるプログラムにするかを必死で考えている。

これ、実は作っている僕もすごく楽しい。
教室へ向かうとき、LEGOのワークを想像しながら一人でニヤニヤしていた。

遊びの中に、たくさんの学びはある。

TRY部には、なんの制約もない。
楽しみながら、子どもたちが成長していくことが出来る。
思えば、係活動もそう。

別に教育なんて思っていなくて、みんな楽しく、好きにやっていた。
友達に喜んでもらおうと思ってクイズを考え、学級新聞を作る。

教育的な意図は、僕たちスタッフが持っていたらいい。

ただ、子どもたちが楽しく参加出来る。
1人1人、子どもたちの思いをくみ取れる場所であればそれでいい。

これからも、TRY部は、宝箱を開くように「今日の授業は、どんなことするんだろう」と子どもたちがウキウキワクワクしながら教室へ来るところでありたい。

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田中 洋輔

田中 洋輔

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒 好きなものは、Mac/ライフハック/ラーメン プロ野球選手を目指すも、強豪校へ入り挫折し不登校に。大学に進学するも、引きこもりになる。周りの支援で復活。「自分のようにしんどい思いを子どもたちにさせたくない」と思い、2009年、学生時代にD.Liveを立ち上げる。不登校のときの話しや自尊感情(自己肯定感)に関する講演や研修をおこなう。夢は、「能力や環境に関係なく、全ての子どもが自分の未来に期待出来る社会をつくる」こと。学生時代は、お笑い芸人として漫才をしていた過去をもつ。