【スタッフが見たTRY部】僕がTRY部をやっていて良かったと思う瞬間

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昨年の寒い寒いある夜のこと。

D.Liveのスタッフが集まってミーティングをしていたところに、スタッフのiPhoneが鳴った。電話の主は当時中3だった生徒。その日、彼は人生の大一番の結果が告げられる瞬間にいた。あわててスタッフが電話を取ると、彼は嬉々とした大声をiPhoneから会議室に響かせた。

「高校、受かりました!」

わーっとその場が沸いた。TRY部ではじめての吉報。「これで高校進学率100%やな!」と誰かが言っていたのが忘れられない。

それから1年。僕たちは「TRY部高校進学率100%」をキープする挑戦に直面していた。前年と違うのは、今年は高校進学を目指す中学3年生の生徒が2人いる、ということ。2人ともこの場所でもがき苦しみ悩み、その分大きな成長を見せてくれた。そのあたりの話はこの記事を読んでほしい。

そして奇しくも、今年は受験生の生徒2人の合否通知が届く日にTRY部が重なった。一生に一度の人生を左右する日の夜に、まさか彼らと会えるだなんて思ってもいなかった。

「ホンマに大丈夫かなー」
「いや、あの子らやったら絶対大丈夫でしょ!」

いくら彼らに対してできることは合格を信じることぐらいしかないとはいえ、授業前のスタッフ打ち合わせでもそんな話が出る。実際、彼ら2人は口を揃えてこんなことを言っていた。

「もし不合格やったら、その日のTRY部休むしな!!」

つまり、これからの2時間、彼らが現れなければそれは不合格を意味する可能性が高い。いやそれだけはやめてくれ、どうであれ彼らの顔が見たい、と思いながら、生徒が来るのを待つ。

しかし、こんな日に限ってなかなか生徒が来ない。10分前、5分前、2分前・・・。家出るタイミングが遅れたんですかね?バスか電車に乗り遅れたのかなー、とかみんなで言い合っていたそのとき、ガチャリとドアが開いた。

受験生の生徒(以下、彼のことは仮名で「カズヤくん」と表記する)がひとりでやってきた。して、結果は?

「受かった!」

うおおおおおおおお!!!!!

瞬間、会議室が一斉に沸いた。しかもこの日は、見学の方が大勢来られているというものすごいタイミング。幾重もの「おめでとう!」の声が彼を包み込んで笑顔になる。その前に入室していた前年合格の高校生の生徒が「よかったー!ああよかったー!」と胸をなでおろしていた。

ところが、もうひとりの受験生の生徒(以下、彼のことは仮名で「タカシくん」と表記する)が一向に現れない。

タカシくんはだいたいいつもTRY部が始まる10分前には教室に入っていることが多い。でもこんな日に限って授業開始から20分経過しても、来ない。実は少し遅れますと言う連絡があったのだが、「少し」と言うにもほどがある。まさか・・・?

じんわりと手汗をかいてきたころ、いきなり扉が開き、タカシくんがやってきた。入室するなり、受験生同士2人でTRY部で頑張ってきたカズヤくんにいの一番に「合格した?」と尋ねる。タカシくんはカズヤくんの合格の知らせを聞くと、カズヤくんに向けて笑顔を見せながらサムアップポーズで返事した。

と、いうことは?

「合格しましたー!」

うおおおおおおおお!!!!!

今日2度目の大歓声が会議室を包み込む。これで、「TRY部高校進学率100%」は今年も守られた。

あとで聞くと、タカシくんは家族で合格のお祝いパーティーをしていて遅れたそうだ。そんな中でもTRY部に駆けつけてくれて本当に嬉しい。彼はさっそく、その日の振り返りを書いていたホワイトボードの「できたこと」の欄に、枠いっぱいの大きな文字で「合格」と記していた。

DSC_0932

TRY部のスタッフをやっていてよかった、と思える瞬間は、こういうところにある。

僕たちは、「英単語を50個覚える」というような目標の確認のために問題を出題することはあれど、そこからさらに踏み込んだ教科学習は一切していない。ちなみに僕は数学がからっきしだめなので、例えば生徒に「平方根の解き方のコツを・・・」なんて言われても、絶対に答えられない。

学習塾のように教科学習に特化していれば、内容理解の小テストの結果やその科目の成績が上がったりすることで生徒の成長を感じ取れるだろう。ところがTRY部は彼ら自身の目標を通して成長を感じ取る場所なので、目に見えた大きな実績を生み出すのには正直、時間がかかる。

これは、イチゴを促成栽培でさっさと収穫してしまうのではなく、家庭菜園のプランターでじっくり、じっくりと寒い外気に置きながら栽培して、赤くて甘そうな果実を結実させるようなものだと思っている。だからこそ、彼らが努力を結実させた瞬間がたまらなく嬉しいのだ。きっと生徒たちも同じ気持ちだと思う。

4月から、いまよりももっと忙しくなる高校生活がはじまる。もう既に彼らはTRY部で顔を合わせる度、「制服の採寸どうやった?」「合格者課題やってる?」などと高校に関する話をたくさんしている。

もしかしたらTRY部に顔を出してくれる機会がぐっと減るかもしれない。それでも僕は、いつでも路頭に迷ったらこの場所に逃げてきてほしい、と思う。TRY部はそのためにあるのだから。

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そんなTRY部の教室運営に関わって下さるスタッフを、いま大募集しています。

居場所づくりに興味がある方、勉強とは違うアプローチで子どもたちの支援をしたいと考えている方、何かボランティアを始めたいと思っている方、一緒に草津でこんな教室運営してみませんか。もちろん、春から大学生!と言う方も大歓迎です。

まずは一度教室見学にお越しください。詳しくは info@dlive.jp 宛てに「TRY部見学希望」と添えてメールをお送りください。お待ちしております!

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山本 駿

山本 駿

NPO法人D.Live スタッフ / 高校非常勤教員(社会科) 京都出身。中学3年間不登校。岐阜県内の大学を卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画。主にTRY部や不登校講演事業を担当しながら、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。