【スタッフが見たTRY部】拝啓、15の君へ

LINEで送る
[`evernote` not found]
Pocket

いよいよ、その瞬間まであと数日。

24521010181_eb8e43c440_o

この日、TRY部にやってきたのは2人の受験生。2人とも、志望校の入学試験がもうすぐそこに迫っている。前週の振り返りは、敢えてスタッフは口を挟まず、2人の対話を重視して行った。

2人とも、TRY部に通い出してから大きな変化を見せてくれた生徒である。

TRY部を始めた当初から通う彼は、「計画を立てて勉強する」ことが大の苦手で、なかなか点数が上がらずに投げやりになっていた。それが、この場所で計画的に勉強する習慣をつけることで、あるとき「やばい!テスト間に合わんかもしれん・・・」と危機感を抱き、受験でも早め早めに手を打つようになってきた。

きっと投げやりだった彼なら、志望校もスパッと適当に選んでいたと思う。しかしTRY部を通して計画性を身に着け、いろんな価値観に触れた彼は、スタッフも驚くほど志望校をどこにするか大きく悩んだ。TRY部のワークをしている間でもお構いなしに、

「なあ、X高校ってどんな雰囲気なん?校則とか厳しいんかなぁ?」
「それは後で悩もう!今はこっちのワークに集中して!」

と、心ここにあらず状態でたびたびスタッフに言われるほど、考えて考えて考え抜いた。きっと15年生きてきてこんなに悩んだのは初めてだったに違いない。年末、「A高校を受けることにしました。滑り止めとしてB高校も受けます」と報告してくれた彼の表情は、心なしかすっきりしていた気がした。

24577092766_0de60cd70a_o

もうひとりの彼は、昨年の夏にTRY部にやってきた。

驚くことにその当時、彼は不登校気味だった。最近滋賀に引っ越してきた彼は、前に住んでいた土地で行きたい高校に目星をつけていた。ところが、引っ越しでその高校に進学できなくなると目標を見失い、無気力で夜型の生活を送るようになってしまった。

TRY部に来たとき、まず取り組んだのは受験勉強のやり方ではなく、「生活リズムの改善」だった。朝までぼーっと起きている生活から、日付が変わる前に就寝する生活へ。彼は、夏休みを終える頃にはすっかり「朝型生活」にシフトチェンジすることに成功した。それが彼にとって、大きな自信へと繋がった。

2学期からは体調を崩すこともあれど、朝起きられないという理由で学校を休むことはほぼなくなった。その「進化」は、担任の先生が彼の姿を見て驚くほどだった。TRY部に通い出して2,3ヶ月、学業面での目標も立てられるようになった彼にも、あの不安な「受験」と言う2文字が付きまとう時期がやってくる。しかし、彼は大丈夫だった。

秋ごろ、そろそろ受験だよねーと話を振ってみると、すでに彼は滋賀で行きたい高校を見つけていたのだ。しかも、近々見学に行くという。見学を終えた後のTRY部では、その学校の設備面をいたく気に入ったらしく、絶対に行きたい!と語るその表情は、初めてTRY部に来たときには考えもつかなった表情をしていた。

23975108924_43cce37162_o

そんな2人と、ドラえもんの道具をテーマにした軽いワークをやってみる。

正直、ドラえもんは数巻しか読んだことがない。でも「あの最後爆発しちゃう国会なんて言うんやっけ?」「バイバインってあったなー!懐かしい!」と話がどんどん盛り上がる。

本当は、受験生の2人はこんな暇なんてないのかもしれない。とにかく追い込んでひたすら勉強をしなければいけないのかもしれない。だけど、ひたすら勉強したって疲れるときは疲れる。こんな息抜きも時には必要なのだ。うまく2人の息抜きになっていればいいなあ、と思いながら、ワークをしていた。

24307714260_17555215f1_o

おそらく、次に彼らと会うときは入試が終わり、ともすれば結果も出ていることだろう。これまでの人生で体感したことのない大きな不安と戦いつつ、どうしてもあの学校に行きたい、と言う思いでいろんなところから情報を仕入れる2人の姿を、僕はずっと見守ってきた。

僕ができるのは、ただ2人をじっと見守ること、そして入試でベストを尽くせるように祈ること。彼らの後ろで、どーんと、何が起こっても大丈夫!と構えているような存在でありたい、と思う。

2月、最高の笑顔とともに彼らの合格通知をともに喜べる瞬間を、僕は楽しみにしている。

LINEで送る
[`evernote` not found]
Pocket

山本 駿

山本 駿

NPO法人D.Live スタッフ / 高校非常勤教員(社会科) 京都出身。中学3年間不登校。岐阜県内の大学を卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画。主にTRY部や不登校講演事業を担当しながら、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。